輸入車/注目の輸入車試乗レポート

ル・マン24時間レースで実感する“幸せ”(5ページ目)

伝統のル・マン24時間レースに行って、みんなの幸せそうな様子や走るということの意味を肌で感じて来ました。経過やリザルトではない、レース前と後の周辺の様子にスポットを当てて報告します。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

走ることは人の世の繰り返しによく似ている

ル・マン24時間レース
アウディではリナルド カペロ、トム クリステンセン、アラン マクニッシュ組(No.1)が総合3位に入賞

午後4時。ゴール。汚れたマシンたちが、殊の外、輝いて見える。彼らは、そう、走り抜いたのだ。24時間戦って尚、動いているから美しいのだった。

ル・マン24時間レース
表彰式では観衆がコース内に入ることができる。今年のル・マンには23万4800人が詰めかけた

ル・マン24時間レース
優勝したプジョーの旗を手に
終了後、有名なシーンを目撃する。大観衆が一斉に表彰台下を目指してコースを練り歩くのだ。プジョーの旗を振り上げておどけるファンがいた。その気持ち、分かるよなあ。

驚くべきは、あれだけいた観衆が表彰式後一時間もすればすっかり見当たらなくなり、我々が駅に向かう18時ごろには渋滞さえなかった。サーキットの立地や放射線状に伸びる道路といった環境要因も大きいのだろうが、さすがはレースが文化として根付く土地だけのことはある。

完走した者たちは、すべて笑っていた。
それを見守ったファンは、全員、心から拍手し笑った。
孫を連れた老夫婦が、若者同士のカップルが、大金持ちが、近所のおばさんが、フランス人もイギリス人も、そして日本人の我々も、みんなみんな幸せを実感した。

走るということは、きっと、心からの欲求であり、愉しみなのだろう。目的地のない速さを競う無駄。それが、生きる喜びを生み、文化となる。人の世の繰り返しに、よく似ていると思う。
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