輸入車/注目の輸入車試乗レポート

ル・マン24時間レースで実感する“幸せ”(2ページ目)

伝統のル・マン24時間レースに行って、みんなの幸せそうな様子や走るということの意味を肌で感じて来ました。経過やリザルトではない、レース前と後の周辺の様子にスポットを当てて報告します。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

かの地で頑張っている知人に心が踊った


VWマルチバン
送迎に使用されたVWマルチバン
私は、金曜日にル・マンに入った。

パリ・モンパルナス駅からTGVで約一時間。そこからアウディが用意してくれたVWマルチバンでサルテ・サーキットへと向かう。


アウディ・レーシング・ホテル
ル・マン24時間レースのためにアウディが臨時で設営したレーシング・ホテル

サーキットの正面入り口からみてちょうど反対側に、アウディが臨時で設営したレーシング・ホテルはあった。ふだんは何かの展示場に使っているようだ。その建物の中に、4、5百に区切られた2畳あるかないかのスペースが用意されている。ベッドと机。質素で清潔。シャワールームとトイレは共同だ。

ここが今日から日曜までの、ボクたちの基地になる。サーキットまでの送り迎えは、ホテル前から出発する専用シャトルで。もちろん、レース中は24時間、いつでも利用できるようになっている。

金曜日はプレスカンファレンスが各チームで行われた。アウディのそれは、ちょっと殺気だっていたように思う。監督が、主催者側に強く抗議するシーンがあったからだ。突然のルール変更が、マシンを今年一新したアウディの開発過程に重大な影響を与えたというのが、その原因だった。

カンファレンスののち、ぶらぶらしていたら何人かの知り合いと会う。井原慶子さんは、彼女が大学生のころからの知り合いで、間違いなく日本最速の女子。急に前座のレース(ルマンチャレンジ)に出場することになったという。こういう話はいつ聞いても、心が踊る。頑張っている知人がいて、世界が認めているという事実を目の当たりにするのだ。自分のことのように誇らしい。

アウディブースで寛いでいたら、サングラスをかけた長身の外国人が手を振りながら寄ってきた。よく見ると、某イギリス系名門ブランドの広報マンで、名前をJBという。そういえば、ル・マンには多くのイギリス人が訪れる。中にはフーリガンみたいな連中もいて、ちょっと怖かったりするのだが、マサカ、JBもそのクチじゃあ??

「明日のレースに出るんだよ」

ぎょええええ、と声ならぬ叫びを挙げた私に、彼はあわてて付け加えた。「クラシックの方だけどね」

なるほど。

ル・マン24時間レース
過去にル・マンに出場した車種のみがエントリーできる「クラシックレース」

そうだった、本番のレース以外に愉しみにしていたのが、決勝の朝に行われる「ル・マン クラシック」というレースで、往年のルマンチャレンジャーが大挙して出場する。新しいマシンより、私にはこちらの方がなじみ深い。そこに、JBはロータスで出るというのだった。うらやましいというか、ホンマ、クルマ好きなやっちゃな。イギリス人は、本当に、スポーツカーが大好きなんだ。

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