輸入車/注目の輸入車試乗レポート

COTYで選ばれた4台の輸入車(2ページ目)

本賞がトヨタiQ、インポートカー賞はシトロエンC5で終わった、“2008-2009日本カー・オブ・ザ・イヤー”。選考委員として参加したガイドが、輸入車に絞って今年の様子などを報告します。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

プレミアムに繋がる“他にない”

シトロエンC5
シトロエンC5の主な受賞理由は「独自のハイドラクティヴ・サスペンションをはじめ、移動空間としてのクルマの基本性能を真面目に追及した、ヨーロッパ車ならではのセダン作りが評価された。」

さて。ここではもちろん、輸入車に絞って報告をしておこう。最終選考に残ったのは4台。アウディA4、シトロエンC5、フィアット500、ジャガーXFである。この他、惜しくも10ベスト入りを逃したクルマには、VWティグアン、キャデラックCTS、プジョー308、スマートフォーツーなどがあった。

選外の中では、キャデラックCTSとスマートフォーツーが出色のデキだ。特にスマートは、言ってみればiQのネタ元であり、それゆえオリジナリティと完成度の高さがもっと評価されていいと思う。

下馬評としては、シトロエンC5が本命(一時はイヤーカー獲得の可能性まで取り沙汰された)で、対抗にアウディA4、大穴でフィアット500、という感じだったが、蓋を開けてみればシトロエンC5の圧勝に終わっている。

COTYにおける獲得点数
シトロエンC5 223点 (うち満点=10点一名、以下同)
アウディA4 180点 (一名)
ジャガーXF 115点 (二名)
フィアット500 90点 (三名)

シトロエンといえば、前々回にC6で同賞を獲得しているから、おおざっぱに言って選考委員はシトロエンのあの“独特な乗り味”がお好み、ということだろう。

かくいうボクも、その乗り味にノックアウトされてC6を購入したクチだ。前々回では満点を投じた。真性のシトロエンフリークたちや経験者には及ばないだろうが、独特のライドフィールを理解し評価しているという点で人後に落ちないという自負がある。

アウディA4
第1次選考対象車(10ベストカー)に選出されたアウディA4は、ショートオーバーハングやロングホイールベースのスポーティなスタイルをもつミドルクラスサルーン。乗り味を3種類に変更できるドライブセレクトも装備

興味深いのは、シトロエンC5がアウディA4と同じクラスにあったということ。もちろん、アウディはプレミアムブランドとして既に世界で認められた存在だが、昨今のシトロエンは確実にその領域へと迫りつつある。内外装の質感レベルアップには目を見張るものがあるし、何より、皆が高く評価するユニークなライドフィールも強い味方だ。他にない、は、そのまま言わずもがなのプレミアムに繋がってゆく。

アウディA4にとってみれば、“格上”のジャガーXFや、“土俵外”のフィアット500にしてやられたというならまだしも、C5にだけは負けたくなかったはずだ。

メカニズム的に見れば、いかにも古くさいガソリンエンジンを積みC6からさしたる進化のないC5よりも、新フロントアクスルレイアウトや直噴エンジン搭載など、新しさと時代性でA4に軍配が挙がるのは明らか。肝心のライドフィールだって、クーペのA5ほどではないにしても、滋味だがキラリと光るものがある。

それでも、負けた。やはり、印象点の差というべきだろう。C5には多くの選考委員を虜にする乗り味があった。この際、好き嫌いがはっきり分かれた方がいいのだ。好きな人が多くの点を投票する。嫌いな人でも、あのスタイリングとインテリアを少しは評価する。その積み重ねが、インポートカー賞となった。もちろん、広報活動の頑張りも大きい。

アウディは、やはり真面目過ぎるのかも知れない。もしくは、真面目に作ったクルマのイメージよりも、それ以外の印象が強く、言わばブランドイメージ先行型で、純粋なハード評価に落ちていかなかった可能性も大きい。

最終選考に残った他2台の輸入車については次ページ
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