コンセプトは究極の無個性

設計を担当した大熊氏は、かつてL-05Mなど、同社の名機といわれたホームオーディオを数多く生みだし、最近はエモーショナルサウンドシリーズを始め、一連の音がいいカーオーディオにも携わっている。一方で、レコーディングエンジニアとしても活躍。音がいい録音で、ミュージシャンには好評だという。
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大熊氏はケンウッドの音質マイスター(音質最高責任者)

そんな大熊氏が「TRIOモデル」で目指したのは、究極の無個性。つまり音に色づけがなく、CDに記録された音がそのまま再現される。そんなデッキとパワーアンプだ。
「音楽は演奏者が創るもので、再生機器が作ってはいけないと思うんですね。そのためにも、音に特徴がないという特徴をめざしたんです」(大熊氏)

そのために、回路設計やパーツの選定には、ものすごくこだわった。
「パーツを選ぶには、回路の間にその部品を足してみるんです。そのときに、音が変わるようだとその部品は使えない。音が何も変わらなければ使える。そのように、ひとつひとつパーツを試して決めていくわけです」(大熊氏)

そのときの試聴に使うのは、自ら録音したCD。レコーディング時の生の音と、製品となったCDの音の両方を知り尽くした大熊氏だから、録音時の生の音と、録音した音の両方を知っている大熊氏だから、的確に判断できるのだ。

コスト度外視でパーツを調達

そのパーツだが、プリント基板は通常の3倍の銅箔を使用した高性能基板。携帯電話の屋外中継局にも使われる環境性能に優れたものだ。またオペアンプはワイドバンド、ハイスピードなリニアテクノロジー社製、抵抗は温度が変化しても動作が変わらない高精度なアルファエレクトロニクス社製、コンデンサーはポリマーとアルミを積層構造とし温度変化に対する安定性に優れたルビコン製など、こだわりのパーツが並ぶ。
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K-TR10Aの内部。プリント基板は1枚なんと3万円以上とか

さらにK-TR10DのD/AコンバーターはWoifson社製のWM8740を左右に1基ずつ搭載してモノラル駆動し、ケンウッド独自のオフセット・デュアル・ディファレンシャルD/Aシステムの採用で、SN比105dB、ダイナミックレンジ100dBのハイスペックを実現。K-TR10AにはマニアにはおなじみのΣドライブの発展型、Σドライブ・フェーズ?を採用し、スピーカー端子でネガティブフィードバックを構成。正確なスピーカー駆動と高いダンピングファクターを実現している。

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