TOYOTA(トヨタ)/トヨタの車種情報・試乗レビュー

日本オリジナルのクラウン マジェスタ(3ページ目)

「書」の心を表現し、堂々さと繊細さを共存させデザインされたクラウン マジェスタ。「もてなしの心」、日本オリジナルにこだわった個性は、世界に通用するのだろうか?

執筆者:松本 明彦

日本から世界へ

後席の居住性、静けさも第一級品。リアセンターアームレストには、ボックス、カップホルダー、アクセサリーソケット、オーディオ・パワーシート・リアエアコン・電動リアサンシェードのコントロールスイッチを装備する。ここにも「もてなしの心」が。

そして第一級の静粛性。走行中でさえ、エンジンの音は遠く囁く。操縦性、走行安定性も、以前のふわふわとした頼りないイメージではない。しっとりと快適な乗り心地を提供しながら、しっかりと運転を楽しめる。今や国際基準の走りといえる。

「国産車のリアシートバックは寝すぎだ」と言われるが、今やEクラスや5シリーズより起きたリアシート。こちらの方が落ち着ける。フロントシートバックのアシストグリップも、乗降を助ける。

初代のクラウンが登場したのが1955年1月。その初代のサイズは4285×1680×1525mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2530mm。現在ではなんとカローラより小さい、4300×1690×1460mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2550mmのベルタ並ということになる。他車がヨーロッパとのライセンス生産を始める頃、クラウンは純国産の道を選んだ。そして第12代目、50年以上の歴史を歩んできた。

リアドアサンシェードも装備する。但しこちらはリアサンシェードと違って手動だ。ルーフのアシストグリップやリアエアコンの吹き出し口も見える。

2005年3月、トヨタの乗用車の原点とも言うべきクラウンが、海外で初めて中国の天津一汽トヨタ自動車有限会社で生産が始まった。今までも、中国、中近東など限られた地域には輸出されていたクラウンだが、中国で生産される左ハンドルのクラウンが、いずれ世界中に輸出される時がくるのだろうか?

1955年1月発売の初代クラウン。

実はマジェスタのフロントグリルのマークは、クラウン(通常のロイヤルサルーンはゴールド、アスリートはブラックの王冠)ではなくトヨタマーク。トヨタブランドの最高級車としての誇りだ。日本国内にこだわって作られたクラウンだからこそ、他車と比較することなく個性を放ち、グローバル性を持つことはありえるだろう。

日本国内にこだわって作られたクラウンだからこそ、他車と比較することなく個性を放ち、グローバル性を持つことはありえるだろう。

レクサスは、セルシオという認知度高くブランド力のある名前を捨てLSとしてまで、レクサス全体でのブランド構築を選択した。ここまで成長したマジェスタを見ると、次期マジェスタがトヨタブランドの最高級車種として、セルシオという名前でデヴューし、世界に輸出されたらどうなるのだろうか、とつい想像してみたくなった。

ドイツ車の「剛性感や高速走安性」、イタリア車の「デザインと気持ちのいい走り」、イギリス車の「上品さと落ち着けるインテリア」、フランス車の「極上の乗り心地とエスプリの効いたデザイン」などと同じように、「もてなしの心」というホスピタリティーは、日本の高級車独自の武器として、今後世界に通用する価値観となっていくだろう。

(写真・文 松本明彦)

<関連リンク>
・クラウン マジェスタ
・高級旅館とセルシオと セルシオ、その「もてなしの心」

  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます