日産の再生を印象づける高級パーソナルセダン

日産シーマ フロント
大きなヘッドライトに負けぬほど存在感のあるフロントグリル。このフロントグリルがヘッドライトより下に位置するのは当時としては画期的。今の同社のフーガに通じるデザインなのです
気づけばこんなに値落ちしていて「おいしい!」という中古車をご紹介しているこの企画。今回は日産シーマ(現行)をご紹介したいと思います。バブル期に「シーマ現象」なる言葉を生み出したほど高級セダンの新しい方向性を見いだしたモデルですが、残念ながら今年8月いっぱいで生産終了が決まっています。しかし中古車市場では、まだまだ元気。新車時600万円以上したこの車が、2ケタ万円から十分買えるのです。

デビューは2001年1月。日産のパーソナルセダンのフラッグシップモデルとして4代目を継承しました。ほぼ5mのボディに4.5LのV8エンジンと、3LのV6ターボを搭載、ミッションには新開発された軽量&小型の5ATを搭載しました(4WDは4AT)。ひときわ目を引くのが7つ目のヘッドランプ。このマルチプロジェクターキセノンヘッドランプは、従来のキセノンより1.7倍も明るいという高い実用性もあるのですが、それ以上に、この車のデザイン上での最大のポイントになっています。

インテリアも、フラッグシップとしてはかなりチャレンジャブル。一応、保険的にブラック基調の内装も用意されましたが、メインはエクリュ色と呼ばれるかなり明るいベージュでした。さらに、それよりも少しトーンの落ち着いたカフェラテ色もありました。また上級グレードに装備されたバーズアイメープルの本木目パネルも黄色に近いような明るい色と、それよりは少し暗めという2種類が用意されるなど、とにかく明るさを強調した配色がメインとなります。

日産シーマ リア
日産のフラッグシップとしての静粛性にも最新の技術が投入されました。遮音材などの使用だけでなく、動力および主運動系部品の軽量化や、高剛性のシリンダーブロック、エンジンカバー、スーパーサイレントチェーンなど細かなところまで手が加えられています
高級セダン、それも会社を代表するフラッグシップともなれば「シックで落ち着いた」外観や、ダーク系の内装になりがちでしたが、このシーマはそういったことをあえて無視し、新しい高級セダン像を模索したかのようです。考えてみれば、当時はゴーン体制になってまだ日が浅く、日産再生に向かって突き進んでいた頃。良い意味で既成概念をぶち壊し、新しい価値を生み出そうと躍起になっていたのでしょう。残念ながらそうした姿勢が成果を収める前に、日本の高級セダン市場は経済事情により縮小していったため、「シーマ現象」の再来とまではいかなかったようです。

しかし、それだけ意欲的であり、またフラッグシップゆえの高級装備が余すところ無く盛り込まれている車です。それが2ケタ万円で買えてしまうなんて。例えば同社の高級ミニバン、エルグランドも同じように2ケタ万円で買えますが、格としてはシーマが上であるのは当たり前。しかもこの価格であればファミリーカーとしての使用も十分アリじゃないですか?

社長が乗っていた車を、ほのぼのした家族が旅行で乗り回す。なんとも贅沢な話ですが、しかし、そんな価値観の変化こそが中古車ならではの魅力なのです。次ページでシーマのファミリーカーとしての素質を、さらに見ていきましょう。