年度末を迎え、新車の販売は一年の最大のピークとなります。新車販売に関してはよく「決算期は値引きが大きい」などといわれますが、中古車ではどうなのか? さらには、中古車の買い時はいつなのか、考えてみたいと思います。
まず一つ結論を言うと、新車と異なり、需要が集中する年度末は中古車相場は下がりません。
そもそもなぜ新車販売では年度末に値引きが大きくなるかというと、自動車メーカーの報奨金が増えたり、販売会社自身の決算対策のために売上を増やしたいという力学が働くからです(3月決算を採用している法人が多いことはご存知のとおりです)。
数十年前から脈々と続くこの慣習のおかげで3月の新車登録台数は例年、他の月の2倍近くを記録します。ということは過去に新車を買った人が車検を契機に中古車に乗り換えるなんてことも3月には頻発し、結果的に3月は中古車の登録台数も通常月の2倍近くになるのです。つまり3月は中古車の需要が増える月ということですね。
一方で中古車の流通台数(供給)は限られていますから、すごく単純に需要と供給のバランスから言って、相場を下げる力が働かないのです。
かつて消費税率が3%から5%に上がる直前の3月に、新車も中古車も駆け込み需要が発生しましたが、実はこのときは税率が上がった4月になって相場がガクッと下がり、結果的に税額のアップ分を差し引いても割安になったほど。なので、現所有車の車検が迫っているなどの特別の理由がない限り、積極的にこの時期に中古車を購入するのは得策とはいえなさそうです。
ではいつが「買い時」なのかというと、考え方は2つ。「他の人が積極的に買わない時期」と「販売店が売りたい時期」です。
前者の典型的な例は、夏休みや冬休みなどの長期休暇中(または直後)や、ボーナス商戦後(8月とか1月)で、後者の例はその販売会社の決算月や、月間販売目標達成がかかった月末など。前者だと他のお客が少ないのでゆっくり選べるし、店員の対応が丁寧になりやすいというメリットもあります。
ただ、条件にバッチリ合った中古車を待っていてズルズルと購入を決断できない人って結構多いのですが、はっきり言って「条件が良くて安い」なんてクルマはありません。もしあったら何か欠陥があると思ったほうが賢明です。上記の「買い時」も、あくまで相対的に損ではないって程度のことで、その時期だから10万円安くなる?なんて幻想は抱かない方がいいです。
基本的に中古車は時間が経てば経つほど、古くなればなるほど値段が下がりますし、一方で人気の高いクルマ、または割安な値付けがされたクルマはすぐに売れてしまいます。
中古車との出会いは人との出会いと同じで、「思い立ったが吉日」的な、運命的な縁を大事にするという古臭い考え方が意外といい結果につながると言うことも、覚えておいていただきたいです。
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