「中古車の選び方」を指南する私の立場(A)と、長く中古車業界に触れていたがために歪んでしまった私の好み(B)から言うと、条件は2つ。
A.中古車になったときに魅力的である
B.新車時には超人気車ではない
以上の観点で検討した結果、コンセプト変更が多数のマニアに不評なスカイラインも有力候補だったのですが、レア度と語るべきポイントの豊富さ、絶版の危機度から言って今回はソアラに軍配を上げようと思います。根拠を解説する前に私のクルマの好みを以下に6段論法でご説明しますと、
「所有してもいいと思わせる特別な何かがある」
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「だが、多くの人にその魅力が理解されない」
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「その割にコストはかかっているので新車としては割高感がある」
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「ゆえに新車の販売台数は多くない(=人気車ではない)」
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「ところが一定数、コアなファンを抱えている」
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「そのため中古車市場では、不人気車と希少車の紙一重の存在として、不思議な魅力を醸し出す」
という感じです。あ、こう書いた段階で、ほとんどソアラを選んだ理由を書いてるようなものですね。
ソアラって、改めて見ると、やっぱり大衆ウケするルックスじゃないと思います。デカイ顔と、不釣合いに小さいテールランプ、およびそれらの妙なクネクネ感。ボディ剛性を確保するためだと思いますが、ウエストラインが高いためルーフを開けてもあまり開放感がないってオチもついてます。
でも、それがいいんですよね。そんなことも含めてソアラには語るべきsomethingがいろいろとあるわけですよ。例えば過剰なまでの高性能。みんな感覚が麻痺しているようですが、搭載されている4.3LのV8エンジンってウルトラスムース&パワフルだし、内装の高級感も国産車では最上級だし。また、例えば電動開閉式メタルルーフ。いかにも開発に金かかってそうだし、今後もそう多くの車種に採用されることはないでしょう。これで600万円って決して高くないと思います。
それが評価されてか、トヨタの読みが健全だったからか、国内での月間販売目標200台に対して、コンスタントにその倍の400台くらい売れてますから販売はまあまあ堅調と言っていいのでしょう。でも月間400台しか市場に出回らないので、仮にこのペースで4年間売れたとしても、4年後でも国内に2万台しか流通しないわけですよ。2万台って、ホンダフィットなら2ヵ月で超えちゃう販売台数ですから、いかにレアかがわかりますよね。
ということで、2001年に登場したクルマ自体の評価は自動車評論家各氏に譲りますが、数年後の中古車市場でのマニアックな魅力度に期待して、ワタクシ的2000-2001カー・オブ・ザ・イヤーはソアラに決まり、って感じです。