よく「中古車はクルマ自体ではなく、店を見て選べ」と言われます。それは概ね正しい判断法ですが、ではなぜそんなに店選びが重要なのか? それは中古車という商品の特性と大きく関係しています。
中古車の品質は、同じ年式の同じ車種であっても一台一台異なります。ゆえに定価もないし、素人にはそのクルマが適正価格なのか分かりにくい。でも、売る側はほぼそれ(適正価格)を知った上で値段を決めおり、いい店では適正な価格付けがされているわけ。これが「中古車選びは店選び」と言われる第一の所以。
加えて、中古車販売店の多くはクルマの仕入れをオートオークションと呼ばれる流通市場に頼っているのですが、ここでは品質が明確に点数化されてセリが行われています。販売店によっては「多少仕入れ値も売り値も高くなるけど、でも品質の低いクルマは扱わない」というポリシーのところもあれば、「比較的品質の低いクルマを安く仕入れて売り値も安くする」という方針の店もある。つまりは中古車の品質は販売店によって決まっていると言っても過言ではないのです。これが第二の所以。
さらに、いい店では中古車の品質や購入に必要な諸費用に関しても、都合が悪いことは隠して何とか売りさばいてしまおうという姿勢がありません(というか、そういう姿勢ではないからいい店なんですが)。ひいては購入後にクルマにトラブルが生じてもきちんと対応してくれるので、つまりは安心して購入できるってこと。これが第三の所以。
「どんな店で買った中古車でも壊れなきゃ全然問題ないじゃん」って考え方もありますが、それは中古車を買いなれた人にとってのこと。クルマに詳しくない、ましてや初めての中古車購入の場合などは、探していたクルマが安く店頭にあったからという理由でわけもわからず契約すると、最終的に支払いが高くついたり、故障続きで辟易するなんてこともよくあるんですよ、本当に。
さて、ではどんな店がいい店なのか? 実はこの分析は一筋縄では行かないのですが、経験的に思い当たることを以下に挙げてみます。
●諸費用が相対的に高すぎない
何軒か見積りをもらわないと分からないかもしれませんが、実は手続きにまつわる各種手数料って店ごとに大きく差があります。この金額が高い店は、店頭価格を安く見せて実は総額ではたくさん懐に入れているってことになるので、あまり良い店とは言えません。
●展示場や展示車がきれい
展示場や展示車の状態って、つまりは店の営業姿勢を映す鏡。良い意味で商売熱心なお店のほうが、買う側からしても魅力的なのは間違いありません。
●店員の対応がよい
客を客とも思わないような態度の店員は論外としても、素人の的外れな質問にも嫌な顔をせず答えてくれ、見積りに関する疑問にも誠意をもって対応してくれる店のほうが、そうでない店より良いに決まってます。こちらの無理な要望に対して適当にお茶を濁すのではなく、できないことはできないとはっきり言ってくれることも大事ですね。ということで、書き始めたらすでに以前書いたクローズアップ「中古車選びはお店選びと心得よう」の内容と似てしまいましたが、両方参考にして良いお店を、ひいては良い中古車を選んでください。
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