キヤノン PowerShot G11 - 低画素化&バリアングルLCD復活
キヤノン PowerShot G11(以下、G11)は前機種となるPowerShot G10(以下、G10)からの正統進化モデルである。ある1点を除いてではあるが。その最大の差異は搭載されたCCDだ。G10では1400万画素のCCDを搭載していたが、G11のそれは1000万画素。大きく画素数が減っている。PowerShot G11
以前のガイド記事でも書いたように、CCDのサイズを変えずに高画素化するということは1画素辺りの大きさが小さくなっていくということである。今回は、その逆。つまり、1画素辺りの大きさがはじめて大きくなったというわけだ。
これによって何が起きるのか。
かつて、35万画素のデジタルカメラが市場に出回りはじめた頃は「デジタルカメラは暗所に強い」とされていた。当時の画素数は低く、かつCCDのサイズもそれなりに大きかったためだ。しかし、それから高画素化競争が始まり、かつての「暗所に強い」という特徴は失われていった。
FinePix F30などFinePixの一部機種は良好な暗所性能を誇っていたが、高画素競争に負ける形で姿を消していった。というわけで、G11の最大の見所は高感度性能になるというわけである。
また、自称「日本一のバリアングル野郎」である筆者は、PowerShot G6以来5年ぶりとなるバリアングル液晶ディスプレイ(詳しくは「ライブビュー撮影は可動式LCDがあってこそ活きる!」を参照)にも注目したいところだ。
バリアングル液晶ディスプレイ復活はなぜ?
まず、このバリアングル液晶ディスプレイがなぜに復活したのか。簡単にいえば同じCCDを搭載しているPowerShot S90が同時期に発売されるため、明白な差別点が必要だったからだろう。いや、そういうものなのである。それでも筆者は単純にバリアングルLCD復活を喜びたい。
ただ、今回のG11に搭載されている液晶ディスプレイはかなり素性がよく、晴天下でも見やすい。それだけでなく、上下から見た時のコントラスト低下も最小限に抑えられているのだ。ウエストレベルでの撮影であれば、さほど問題もなく撮影できてしまったほどだ。
それでもローアングル、ハイアングルでの撮影はやはりバリアングルが便利である。撮影感覚が広がるといったイメージだ。特に路上での猫撮影を延々とやっている筆者にとってはなくてはならない機能である。同様にペット、子供の撮影には適しているといえるだろう。
46万画素の2.8型とG10と比較するとバリアングル機構を組み入れるためにやや小型化しているが、一時期のIXY DIGITALにあったような液晶ディスプレイの黄ばみも少なくともレビューに使用した機種では見られなかった。
なお、G11は液晶ディスプレイ以外に光学式ファインダーを搭載している数少ない機種であるが、今回のテスト中に使用することは1度あった……かな?
液晶ディスプレイに比べると、どうしてもコンパクトデジカメの光学ファインダーはパララックスが生じてしまうため、使いづらい。それに加えてバリアングル式で撮影しやすいこともあり、多分に「高級機」であるという象徴的なものとなっている。