エンジンとトランスミッションはハッチバックと共通で、CCとCCプレミアムが1.6リッター自然吸気の4速AT、CC・GTが1.6リッターターボの5速MTになる。ボディはハッチバックより200kg近く重いので、自然吸気のCCは、山道ではアクセル全開になることが多かった。でもエンジンが静かでスムーズなので、ストレスはない。CC・GTはターボが効く前の2000rpm以下で重さを感じたが、その後の加速は不満なし。右足を踏み込むだけでシフトダウンなしに望みの加速が手に入るターボならではの特性は、余裕という点でオープンカーに合っていると思った。
加速とは逆に、重さがプラスになっているのが乗り心地。低速での固さが抑えられ、速度を上げたときのしっとり感もアップした。ハッチバックでは高速でもハードに感じたGTさえ、快適に思えるほど。ボディの剛性感は、206CCもけっして不満はなかったが、207CCはまるでドイツ車のようにカッチリしていた。風の巻き込みは、オプションのウインドデフレクターがなしでも、サイドウインドーを上げておけば、60km/hぐらいまでならほとんど気にならなかった。
ハンドリングは、ハッチバックの207のレベルの高さをほぼそのまま受け継いでいた。他の多くのクーペカブリオレと違って、ルーフを開けても閉じても走り味があまり変わらないのは、プジョーの経験がなせる業だろう。オープンでコーナーに入ってもリアの重さはほとんど感じられず、ターボエンジンのGTでも前輪がしっかり接地して、爽快な立ち上がり加速を味わうことができた。
価格はハッチバックと同じように、206時代より高くなった。ベーシックなCCでも300万円を越え、CCプレミアムやCC・GTでは350万円近い。でもハッチバックほどプライスアップが気にならないのも事実。オープンカーというスペシャルな乗り物のためもあるが、なによりも格上のクーペカブリオレを上回るほどの仕立てや走りのよさを備えていたからだ。プジョーはクーペカブリオレのベンチマーク的存在であることを、完成度の高さで教えられた。
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