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C6はやっぱり、ハイドラクティブ・アクティブサスペンションがもたらす、夢のような乗り心地につきる。似たようなメカを持つ他車が乗り味を金属バネに近づけようとしているのに対して、半世紀前にハイドロニューマチックを手がけたシトロエンは、素直に油圧やエアサスのよさを出しているように思える。それが理屈を越えた心地よさに感じられるのだ。
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607はプジョーならではのドライビングプレジャーを、デカフラならではの最上の快適性とともに味わえるのが魅力。とくに今回乗った4気筒+メカサスは、軽いノーズのおかげもあって、史上最高のネコ足といいたくなる走りだった。そしてアヴァンタイムは、ミニバンをベースにクーペを構築し、グラスルーフにピラーレスのサイドウインドーまで使った結果手にした前代未聞の開放感が、リビングにいながら移動しているような、独特の快感をもたらしてくれる。
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このクラスのクルマを買う日本のユーザーは、自分が支払った金額に見合う、目に見える価値を重視する傾向がある。だから押し出しが強く豪華に見えて速くてハイテクでブランドイメージの確立したドイツ車を選ぶのだろう。そういう行動を否定するつもりはない。でもデカフラにはそういった理屈を超えた心地よさ、気持ち良さがある。C6がきっかけでそれに気づく人が増え、プジョーやルノーのフラッグシップも復活してほしい。そう願っている。
*写真のシトロエンC6のボディカラー、インテリアカラーは日本仕様には設定されていません。