
とにかく長旅がラクなのである。直進安定性はバツグンで、乗り心地はゆったりしていて、シートはカラダをやさしく包み込むよう。それだけではなく、窓の大きな明るいキャビン、シンプルでセンスのいいコーディネイトなども、乗り手をリラックスさせてくれる。

つまり他国のこのクラスのクルマのように、強烈な加速や、きらびやかな室内や、精緻な仕上げや、多彩な電子制御でアピールするのではない。そういったうわべの部分ではなく、人間の心理的な部分にまで入り込んで、真の快適を追求している。そんな気がしたのだ。

残念ながらC6では、まだ長距離を体験したことはないが、607はパリ~レンヌ間約350km、アヴァンタイムでは東京~福井間430kmを、ともに1日で走破した。607はドライバー交代をしたが、アヴァンタイムはひとりで走り切った。でも全然疲れないどころか、心地よささえ覚えた。クルマの好き嫌いによるところも大きいけれど、こんな気持ちになることはめったにない。