プジョー/プジョー

ロードインプレッション 406クーペでロングツーリング(2ページ目)

今年のフレンチブルーミーティングは、マイナーチェンジしたプジョー406クーペで往復した。500キロをともに過ごしたら、いままで気づかなかったこのクルマの良さがいろいろ見えてきた。

執筆者:森口 将之

メカニズムはいままでと同じ。実際に乗ってみても、大きな違いは感じられなかった。3リッターV6エンジンは普通に走っているときには静かで滑らかだが、4000回転を越えると音が力強くなって、けっこうスポーティ。4速のままでマニュアルモードのないATは、街中ではおっとりしたレスポンス、山道では5速でないことが気になるが、シフトパターンがジグザグ式なので、マニュアルモードが必要だとは思わなかった。



乗り心地はあいかわらず固い。ボディ剛性がしっかりしているので、ダイレクトなショックはないが、ほかの406のようなしっとりしたストローク感はあまりなく、路面の感触をほどほどに伝えつつ、フラットな姿勢で走っていくような感じ。このあたりもまた、フランス車というよりイタリアンGT風だ。



ハンドリングがセダンよりクイックなのは、知る人ぞ知る?406クーペのアピールポイント。トレッドを広くした専用リアサスペンションのおかげだ。軽いステアリングをちょっと動かすだけでスッと向きを変えるその反応は、406というより206に近い。しかもその後のグリップは、ほかの406より一枚上。もちろんフロントの接地感もプジョーらしくすばらしいから、この部分だけとればスポーツカーそのものだ。



そんなわけで、その気になればけっこう速い406クーペなのだが、しばらくすると、ちょっとペースを落としてクルージングしようとしている自分がいた。魅力的なプロポーションを、より美しく見えるように走らせてあげようという気持ちになったのだ。そうなると、飛ばしているときには気になった軽いステアリングやおっとりしたATも、お似合いに思えてきた。やっぱりこのクルマはおとなのクーペだったのだ。



昔はすべてのデザインをピニンファリーナにまかせていたプジョーだが、最近はほとんどを社内スタジオでまかなうようになった。それに合わせてクーペやカブリオレも、自社生産に切り替えてきた。ピニンファリーナがボディを製作するプジョーは、この406クーペが最後かもしれない。次期型への期待はもちろんあるが、その一方でちょっとだけさびしさも感じた今回の試乗だった。
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