ステアリングを切って、「あれっ」と思った。S16のように切った瞬間にスパッとインを向くことはなく、ふつうのクルマと同じように、グルッと曲がっていくのだ。RCはSWと同じように、リアサスペンションに横剛性を高めるためのビームが追加されたが、これでリアが曲がりにくくなったのだろう。たしかに206シリーズの中では、同じ足を持つSWに近い動きだ。
その代わり、リアタイヤのグリップは強力になっていて、コーナーでアクセルをゆるめたときの滑りは控えめになっている。これもまた、リアサスペンションの剛性がアップしたおかげだろう。一方フロントは、アクセルを踏みすぎると大パワーを伝えきれずに、外にふくらんでいくこともある。でもそれに注意して踏めば、プジョーならではのすばらしい接地感で、切ったとおりに進んでくれる。つまりフロントのグリップにリアが追いついて、バランスのとれたコーナリングを味わえるようになったわけだ。
というのがRCのインプレッションだが、このクルマが気になる人なら、やっぱりルーテシアRSと比べたくなるはず。僕もそのひとりなので、どっちがいいかを簡単に書くと、デザインは206、エンジンは速さは206、フィーリングはルーテシア、乗り心地はルーテシア、ハンドリングは206となる。つまり206RCのほうが少しイイかな?という感じだ。となるとあとは価格、ルーテシアより29万円高い294万円という数字をどう考えるかだろう。
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