S16でいちばん物足りなかったのがエンジンだった。307や406に積まれているものと同じということもあって、パワーの盛り上がり感やレスポンス、サウンドなどがイマイチだった。その点、RCは別物。5000rpmあたりで吹け上がりが鋭くなって、そのままレッドゾーンまで一気に持っていく。レスポンスは切れ味抜群で、澄んだサウンドも気持ちいい。加速そのものもS16とは段違い。本物のスポーツユニットだ。
5速MTはローギアがけっこう高くて、発進のときにエンストしそうになるが、その代わり2速以上とのつながりがよくなって、心地よい高回転を連続して味わえるようになっている。しかもレバーが短くなったことでストロークは短くなり、作動がロッドからケーブルに変わったおかげで、しっとりしたタッチになった。ペダルもヒール&トゥしやすい配置になっている。こういう部分まで変えてくれるあたり、わかっている。
乗り心地はけっこう固い。スプリングやダンパー、スタビライザーがハードになっているだけでなく、205/40ZR17という太くて薄いタイヤのためもある。固めのシートもそう感じさせる原因だろう。それでもそれほど辛くないのは、ボディ剛性が予想以上にしっかりして、ショックをダイレクトに伝えないからだ。