ルノー/その他のルノー車

ロードインプレッション 2台のルノースポールを乗り比べ(2ページ目)

今年最後のロードインプレッションは、ルノー・ルーテシア・ルノースポールV6と、2.0に設定された限定車「ルノーF1チーム・リミテッドエディション」をお届けしよう。

執筆者:森口 将之

3リッターV6DOHC24バルブエンジンは、アヴァンタイムに積まれているものと基本的に同じだが、最高出力は152kWから166kW、最大トルクは280Nmから300Nmにアップしている。トランスミッションは6速MTのみ。しっとり感はないがゲートははっきりしていて、ガシャッと入るレーシングカーに近い感触だ。クラッチはそれなりに重く、ツインプレートなのでつながり方に少し癖があった。


1380kgのボディに3リッターだから速さは申し分ない。どこから踏んでも弾き飛ばされるように加速する。レスポンスは鋭くはないが、4000rpmを越えると音がクォーンと心地よくなるなど、スポーツカーらしさはしっかり備えている。しかも初期のモデルに比べると、ファンのノイズなどの雑音が抑えられ、音がきれいになった。それでいてエンジンがすぐそばにあるから、加速の臨場感では数あるスポーツカーの中でもいちばんかもしれない。


乗り心地はかなり固い。しかもRS2.0のような、ハードな中にもしなやかさがある感じではなく、ドイツ車的な固さだ。ただし初期型と比べると、小刻みな上下動は少なくなり、出来の良いシートのおかげもあってなかなか快適だ。高速での直進安定性もレベルアップして、100km/h+アルファなら楽にクルージングできるようになった。

一方のハンドリングは、初期のモデルとあまり変わらなかった。他のルーテシアと比べると足回りの接地感がいまひとつで、コーナー入口でしっかりとブレーキを掛けず、アクセルを軽く踏んでステアリングを切っていくと、フロントが外にふくらみ始める。それではとアクセルを踏まずにコーナーに入ると、リアがかなり急激に滑る。アクセルを踏み過ぎてもリアが滑る。かなりエキスパート向きの性格といえるだろう。


前輪駆動のホットハッチとして高度に煮詰められたRS2.0と比べると、ルーテシアV6は素材っぽさが強いモデルという感じがした。マイナーチェンジ後のモデルが、エンジンや足回りにどの程度手を加えてくるのかが興味深い。ただ今のままでも、独特のデザインや加速感、音を楽しむエンターテイメントマシンとして考えれば、かなり魅力的なモデルだと思った。こんな形のスポーツカーは、ほかにはないのだから。
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます