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1380kgのボディに3リッターだから速さは申し分ない。どこから踏んでも弾き飛ばされるように加速する。レスポンスは鋭くはないが、4000rpmを越えると音がクォーンと心地よくなるなど、スポーツカーらしさはしっかり備えている。しかも初期のモデルに比べると、ファンのノイズなどの雑音が抑えられ、音がきれいになった。それでいてエンジンがすぐそばにあるから、加速の臨場感では数あるスポーツカーの中でもいちばんかもしれない。
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乗り心地はかなり固い。しかもRS2.0のような、ハードな中にもしなやかさがある感じではなく、ドイツ車的な固さだ。ただし初期型と比べると、小刻みな上下動は少なくなり、出来の良いシートのおかげもあってなかなか快適だ。高速での直進安定性もレベルアップして、100km/h+アルファなら楽にクルージングできるようになった。
一方のハンドリングは、初期のモデルとあまり変わらなかった。他のルーテシアと比べると足回りの接地感がいまひとつで、コーナー入口でしっかりとブレーキを掛けず、アクセルを軽く踏んでステアリングを切っていくと、フロントが外にふくらみ始める。それではとアクセルを踏まずにコーナーに入ると、リアがかなり急激に滑る。アクセルを踏み過ぎてもリアが滑る。かなりエキスパート向きの性格といえるだろう。
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前輪駆動のホットハッチとして高度に煮詰められたRS2.0と比べると、ルーテシアV6は素材っぽさが強いモデルという感じがした。マイナーチェンジ後のモデルが、エンジンや足回りにどの程度手を加えてくるのかが興味深い。ただ今のままでも、独特のデザインや加速感、音を楽しむエンターテイメントマシンとして考えれば、かなり魅力的なモデルだと思った。こんな形のスポーツカーは、ほかにはないのだから。