乗り心地は固さはハッチバックに近いが、細かい揺れが抑えられて、ひとクラス上のクルマのように落ち着いている。これはフランスで乗ったときと同じ印象だが、S16はそのときほど固いとは感じられなかった。一方のXSは、凹凸を乗り越えたときのゆったりした上下の動きがフランス車らしい。どちらが快適かといわれれば、やはりこちらだろう。
ステアリングの反応はハッチバックほど鋭くないが、ワゴンとしては異例にダイレクト。前輪が速度を上げてもしっかりグリップしてくれるところは同じだ。リアは簡単には滑らなくなったが、それでもアクセルやブレーキを使えばマイルドに外へと流れ、クルマの向きを変えてくれる。「プジョーはやっぱりこうでなくっちゃ」と思うのは僕だけではないはずだ。XSとS16の違いは、ステアリングの反応や限界スピードなどに出るが、その差はハッチバックより小さかった。
206SWはワゴンというより、3~5人で乗ることが多い人のための206という感じがする。ラゲッジスペースはそれほど広くない代わりに、ワゴンとは思えないほどスタイリッシュなデザインとレスポンシブな走りを備えているからだ。まっとうなワゴンの307ブレークとは対照的だし、307SWとはSWに込められた意味が違う。SWのSは307ではスペースだったが、206の場合は間違いなくスポーツなのだ。