206はハッチバックでは、S16とそれ以外のグレードでサスペンションのセッティングを違えている。しかしCCはボディが重いこともあって、1.6リッターモデルですでにS16と基本的に同じ設定となっていた。そのためS16となって変わったのはホイール/タイヤぐらいとなる。
ということで、乗り心地は低速でタイヤの固さが気になることを除けば1.6リッターに似ている。むしろハッチバック同様熟成が進んだためか、快適に感じられるほどだ。クーペのときとオープンのときで印象が異なるのは今までどおり。オープンではボディが適度にしなるためか、さらにマイルドに感じられた。
タイヤが太く扁平になり、ノーズが少し軽くなったこともあって、ステアリングの反応は1.6リッターモデルよりも確実に鋭くなった。ただし100kg以上軽いハッチバックS16のような、切った瞬間に自分が真横に移動するようなダイレクト感は味わえない。両車の中間ぐらいのフィーリングだった。
クーペの状態にするとボディ剛性が上がるので、レスポンスは少し鋭くなる。でもオープンのときだって良い面はある。リアが重くなり、重心が低くなるためか、前後のグリップバランスが優れ、安定感が増した、スポーツカーっぽいフィーリングが味わえるのだ。個人的には乗り心地を含め、オープンのときのほうが好みだった。
S16が出たことで206CCは2車種になった。価格差が15万円ということもあって、どちらにするか悩む人もいるかもしれないが、僕ならS16をとる。2リッターの速さと余裕、MTのダイレクト感と楽しさは、ATのイージードライブを上回る魅力に思えたからだ。それでいて乗り心地は悪くなっていない。それと写真ではお見せできなかったが、S16だけに選べるマオリ・グリーンという新色、これがまたきれいなのだ。