セニックRX4は本国での発表直後にモロッコで行われた試乗会で乗ったが、それ以来一度もステアリングを握ることはなかった。1年以上ぶりに乗り込むと、フロアやシートの着座位置がかなり高めであることに気づく。信号待ちで隣に並んだパジェロと同じぐらいであり、エクストレイルなどのライトSUVよりは高いぐらい。でもおかげで見晴らしは良く、ほとんどの人が気持ち良さを感じるのではないかと思う。
日本仕様はMTのまま右ハンドルとなっているが、心配されたペダルのオフセットはなかった。上から踏みつけるタイプなのでそれほど奥に配置しなくても良いからだろう。ステアリングはかなり起きていて、昔のワンボックスカーを思わせるドライビングポジション。シフトレバーは長めで、ストロークは大きいわりにタッチは確実だったが、1速とリバースは遠く感じた。クラッチはストロークが大きめだが、その分ミートポイントが分かりやすい。
車両重量は普通のセニックより重くなっているが、ギアボックスがMTということもあって、2リッター直列4気筒DOHC16バルブエンジンによる加速性能は十分。ギア比が全般的に高めなので発進直後は鈍いと感じるが、動き出してしまえば3000rpmも回せば流れをリードできる。サウンドは3000rpmと4000rpmでこもり音が高まるが、5000rpmを越えるとけっこういい音質に変わり、レッドゾーン入口の6500rpmまでスムーズに回ってくれる。100km/hは5速で2750rpm、4速で3400rpmぐらいだった。
乗り心地は街中ではホイールとタイヤが重い感じを受ける。ただしサブフレームが追加されたおかげで、直接的なショックは和らげられている。サスペンションストロークはルノーらしく豊かで、それによるまろやかな乗り味はこのブランドならではのものだった。SUVという言葉から連想される固さや荒っぽさはなく、しなやかでフラットな印象に終始している。