走り出す前に、ハイドラクティブ3についての解説をもう一度しておこう。最大の違いは油圧の制御方法。今まではエンジン駆動ポンプで油圧を発生させ、それをアキュムレーターで一定に調節していたが、今度はハイドロエレクトロニックユニットと呼ばれる電子制御ポンプで油圧の発生から調節までを一気に行ってしまう。さらに車高を一定に保つシステムも、スタビライザーの捩れでバルブを開閉する方式から、捩れをセンサーを使ってチェックし、その情報をハイドロエレクトロニックユニットへ送って、理想的な油圧を送ってもらう方式になった。
この結果、走行状況や道路状況に応じて車高を変えることが可能になった。具体的には、70km/h未満の悪路では車高が13mm上がり、逆に110km/h以上の良好な路面ではフロントが15mm/リアが11mm下がる。システムに使うオイルも、今までよりも信頼性の高いものに全面変更された。今までのLHMのような呼び名は今のところなく、LHMとの互換性もない。液体の色はグリーンからレッドになった。
状況に応じてコンフォートとスポーツの2つのモードを自動的に切り替え、運転席脇のスイッチでスポーツ側に固定することができるのは今までのハイドラクティブと同じ。やはりスイッチを使って、ロー、ノーマル、ミドル、ハイと4段階の車高を選べるのも今までどおりだ。もちろんローとハイは走行不可とされているが、ハイドラクティブ3ではこの2つのポジションのまま走り出すと、車高をノーマルに戻す機構も備わっている。ポジションはダッシュボード中央のマルチファンクションディスプレイに、イラストで表示されるようになっている。
さらにブレーキとステアリングの油圧系がサスペンションから切り離されたことも特徴。このうちステアリングはサスペンションと同じオイルを用いるが、ブレーキは他のクルマと同じマスターバックを使った方式となる。パワーステアリングは2.0はエンジン回転数感応式だが、V6では車速感応式となった。
スタート前にエンジンルームをチェックすると、ドイツ車のように大部分がプラスティックのパネルでカバーされていた。エンジン本体はともかく、油圧制御ユニットやスフェアを目にすることができないのはさびしい。すき間からのぞき込むようにして確認できた油圧制御ユニットは驚くほどコンパクト。スフェアは今までよりもやや平べったい形をしていて、色はグリーンからブラックになっていた。
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