
一方アクセルを深く踏んで素早く走ろうとすると、クイックシフト5はそれに応えてくれる。クラッチのつながりも、シフトアップも、スピーディに行ってくれるのだ。エンジンもある程度から上の回転域で力が盛り上がるタイプということもあって、ヨーロッパのコンパクトカーらしく、エンジンをガンガン回して走ったほうが乗りやすい。シフトダウンはきちんと空吹かしを入れ、ショックなしで変速をしてくれる。その作動はファジー制御のためかゆったりとしていて、いつの間にかエンジンブレーキが効いているというフィーリングだった。

マイナーチェンジではシャシーにも改良が施されている。サスペンションではフロントにスタビライザーが備わり、リアのスタビライザーは太くなった。電動パワーステアリングは制御を見直し。ブレーキはホイールに合わせて大径化され、フロントのディスクはベンチレーテッド化されている。

僕はイージーのMTライクな操作感や、旧型ならではのマイルドな乗り心地が好きなので、新型に乗っても自分のクルマに対する愛情が薄れることはない。でもイージーになじめないという人や、積極的に走りたいという人にとっては、クイックシフト5という新兵器を得た新型は好ましい存在に映るだろう。あとは信頼性がどうなのかということが気になるが、クラッチ制御が電磁式になったということで、多少は安心できるかもしれない。