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ロードインプレッション シトロエン・クサラ2.0(2ページ目)

昨年秋のパリサロンでデビューしたシトロエン・クサラのマイナーチェンジモデルが、5月24日に日本でも発表。6月1日に発売されることになった。まず導入されるのは新世代の2リッターエンジンを積むハッチバック。その1台に早速試乗してきたので、外観や室内の変更点、乗り味の違いなどを報告しよう。

執筆者:森口 将之

エンジンはすでにプジョー406や206S16にも積まれているものだが、日本仕様のシトロエンとしては初採用となる。最高出力は137PS(100kW)/6000rpm、最大トルクは19.8kgm(190Nm)/4100rpmで、旧型と比べると7PS/1.1kgm増えている。一方エンジンが軽くなったことで、車両重量は1220kgから1180kgにダウンした。4速ATがエグザンティアと同じ学習機能付きとなったことも特徴だ。

このエンジン、感触はプジョー各車に積まれるものと同じ。以前よりも回りかたが滑らかになって、音は静かになった。3500rpm以下ではエンジン本体の音はほとんど聞こえず、フォーンという心地よい排気音がわずかに響いてくるだけ。クサラは前からこのクラスとしては静かなクルマだったが、その良さがワンランクアップしている。4000rpmを越えるとこもり気味の音が目立つようになるが、大幅に増えた低中回転のトルクのおかげで、ほとんど気にならない。通常のペースで走る分には3000rpm以上回すことがほとんどないからだ。

乗り心地は低速ではタイヤの固さを感じる。旧型のエクスクルーシブもそうだったが、195/55R15というスポーツモデル並みのサイズを履いているためだろう。もう少し細いサイズの仕様にも乗ってみたいと思った。スプリングやダンパーも、クサラとしては固めのセッティング。2リッターモデルは本国では高性能仕様となるから、こういう設定になるのかもしれない。

でもサスペンションの動きは依然としてしなやかだ。マイナーチェンジでボディ剛性が高められたこともあって、持ち前の滑らかな上下動にさらに磨きがかかっている感じがする。細かい凹凸の処理もうまく、ざらついた路面でもほとんどそれを伝えず、スムーズな感触だけを届けてくれる。これに快適なシートが組み合わされるのだから、60km/hあたりから上では文句の付けようがない。さすがにシトロエンだ。

タイヤの太さが影響してか、ステアリングはやや重め。ただし反応はとても自然で、切れ方に段があるようなことはない。鋭すぎず鈍すぎずで、シトロエンらしいリラックス感がある。ハンドリングは1.6リッターモデルのように軽快。エンジンが軽くなったせいだろう。しかもタイヤのグリップレベルが高く、しなやかに動くサスペンションはそのタイヤを常に路面に接地させてくれるので、かなりスピードを上げても切ったとおりに曲がっていける。コーナー中に急にアクセルを戻しても、リアが滑ったりすることはほとんどなかった。安定していてしかも意外に速い、シトロエンらしいマナーである。

このクサラ2.0の価格は249万円。従来の2リッターハッチバックであるエクスクルーシブより15万円安くなった。同じ排気量のVWゴルフより3万円安い。でも最近このクラスの輸入車は1.6リッターが主流になりつつあるのもたしかだ。新型クサラは現状では1.6リッターとATの組み合わせがないので、まず2リッターから導入したとのことだが、1.6リッターならサスペンションやタイヤもよりシトロエンらしい優しさを感じさせる設定になるはず。一日も早く「本命」の追加が望まれるところだ。
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