プジョー/プジョー

ロードインプレッション プジョー206CC(2ページ目)

ついに日本上陸を果たしたプジョーの2刀流、206CCに乗ることができた。場所は瀬戸内海に浮かぶ淡路島。天気は今一歩だったが、幸いにして雨は止み、心地よいオープンエア・モータリングを堪能することができた。自慢の電動開閉式メタルトップはもちろん、風の巻き込みやボディ剛性、加速性能、ハンドリングなど、オープン化によって変わった部分を中心に報告していこう。

執筆者:森口 将之

前席まわりはハッチバックと基本的に同じ。アクセルとブレーキの段差がほとんどないペダル配置を含めてだ。本革張りのスポーツシートは上質な見栄えで、厚みもあり、座り心地は206の中ではトップレベルだ。一方のリアはやはり狭い。クーペの状態では、ひざをシート以上に開き、頭をおじぎしてなんとか座れる程度。よく4名乗車が認可されたものと感心した。でも中央にはカップホルダーがあるなど、非常用というわけでもない。

ボディは同じ1.6リッター直列4気筒DOHCエンジンを積むハッチバックXSより100kg以上重いが、力不足は感じない。出足はゆったりしている感じがするが、その後は3000rpmぐらいまで回せば楽に流れに乗れる。もちろんアクセルを床まで踏む必要はほとんどない。どこかでパワーやトルクが盛り上がるという性格の持ち主ではないが、オープンにしたときのフォーンという排気音はなかなか心地よいものだった。

風の巻き込みは4シーターのオープンとしては少ない。キャビンの前後が短いせいだろう。サイドウインドーを上げていれば、頭上をそよ風が通り抜け、シートの間から空気が流れてくる程度だ。ただし90km/hを越えると、巻き込みが多くなるようだ。もちろんクーペにすればこうした風はシャットアウトされ、平和な雰囲気が手に入る。コンパクトなキャビンも、スポーティなパーソナルカーという感じがしていい。

ボディ剛性は問題ない。とくにフロアがしっかりしているのが印象的だ。一方ウインドスクリーン周辺は、段差を通過したときにワナワナするが、きしみ音はない。乗り心地はクーペのときはXSに近い。206としてはやや固めで、ショックはトンと瞬間的に伝わってくる。ところがオープンではボディがしなるせいか、乗り心地はマイルドで、ショックはブルンと長い周期で伝わる。クルマの性格から考えると、オープンの時のフィーリングのほうが似合っているように感じた。

コーナリングの能力はXSなどよりも上かもしれない。S16と同じサイズのタイヤのグリップ能力が高いことが効いている。とくに印象的だったのはオープン時。畳んだルーフをリアに背負うために、前後の重量配分がイーブンに近づくのだろう。前後のタイヤがバランスよくグリップした、FRのような気持ちいい感触を味わわせてくれる。それに比べるとクーペのときはノーズの重さが気になるが、同様のルーフを持つメルセデス・ベンツSLKと比べると、差はわずかだ。ホイールベースが長いおかげだろう。ステアリングはもう少し軽くてもいいと思うが、切れ味は相変わらず素直だった。

1台でクーペとオープンの2種類のボディが楽しめるというのは乗る前から分かっていたが、オープン時の快適性の高さや意外にスポーティなハンドリングなど、それ以外にも魅力的な面がたくさん備わったクルマだった。そして価格は275万円。これは売れるでしょう。買おうと思っている人は、早めに決断することをおすすめしておこう。
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