今回206CCの試乗の舞台になったのは淡路島。「箱根をガリガリ走って評価してもらうクルマではない」というプジョー・ジャポンの思いからこの場所に落ち着いたのだという。走り慣れた道ではないという不利な材料はあったが、この考え方には賛同できる。天気は前日まで雨だったそうだが、この日は運良く曇りのままでもってくれた。おかげで心地よいオープンエア・モータリングを堪能できた。
プジョーとしては初めての電動開閉式メタルルーフだけあって、そのメカニズムにはいろいろと特徴がある。オープンにするときは、トランク内のトノカバーがセットされていることが条件。なおかつ10km/h以下でないと、スイッチを引いても作動しない。作動中に10km/hを越えたときは、その時点で停止するという。
この条件をクリアしていることを確認して、ルーフ内側左右のフックを解除すると、ピーというブザーが鳴って、開けてもいいことを伝えてくれる。そこでスイッチを引くと、前、後ろの順でサイドウインドーが降り、トランクが開き、ルーフが畳まれながら格納され、作業がすべて終わるとまたブザーが鳴って完了を知らせてくれる。閉まるときはこの逆だが、ウインドーは上がってくれない。
サイドウインドーが前後同時に開閉してくれないのは、最初は不思議に思った。でもこれなら、前だけ開けたいという要求にも応えてくれる。実際、運転席側のワンタッチモードは前だけ作動するという巧妙な作りだ。1つのスイッチで2枚開閉できるのは便利だし、使っていくうちになかなかいい考え方だと思うようになった。
トランクリッドはルーフをしまうときと荷物を積むときで開き方が違うが、それだけではない。なんと開く部分も異なる。荷物を積むときはバンパーのすぐ上から開くが、ルーフをしまうときは真ん中から上だけが開くのだ。そのためリッドを裏から見ると、垂直の部分の内張りがかなり厚いことが分かる。この部分に開閉機構が収まっているというわけだ。そのトランクは、オープン時には使えなさそうに思えるが、実は500ccペットボトルが立てて置けるほどの高さを持つ。意外に実用的だ。
乗り降りで気になるのはやはり強く傾いた大きなウインドスクリーン。フロントウインドーを長くしたのはルーフを短くするためだと思うが、おかげで先端はかなり顔に近い。身長170cmの僕で、顔との間隔は15cmぐらいしかなかった。当然乗り降りには気を遣うし、運転中も太くて手前に迫ってくるような形状のピラーは、慣れるまでは気になった。もちろん閉めているときは問題はないが、ルーフに対してシートは高めで、顔に対してサイドウインドがかなり下にある。