昨年秋のパリサロンで正式デビューを果たした206CCは、本国では1.6リッターと2リッターの2つのバージョンがある。このうち日本にまず輸入されるのは1.6リッター。エンジンは206XS/XTプレミアムにも搭載されている新型のDOHC16バルブだ。トランスミッションは4速AT、ハンドル位置は右。価格は275万円で、兄貴分の306カブリオレより89万円も安い。噂ではこの後2リッター版の追加が予定されているという。
最大の特徴が、クーペとカブリオレの2つのボディを楽しめる電動開閉式メタルルーフであることはいうまでもない。スイッチを押すだけでルーフが2つに折り畳まれ、やはり電動で開閉するトランクリッドの中にしまい込まれる。同時に4枚のサイドウインドーも下りるようになっている。開閉にかかる時間は約20秒。車速が10km/hでは作動しないセーフティシステムも装備している。
システムとしてはメルセデス・ベンツSLKに似ているが、決して真似をしたわけではない。実はプジョーは世界で最初に電動開閉式メタルルーフを装備したメーカーで、1934年にプロトタイプが発表された402エクリプスに初めて採用している。つまりプジョーはこのボディについてはパイオニアであるわけだ。
ボディはフロントウインドーより前はハッチバックと共通だが、リアはルーフを格納するためにノッチバックとなった。トランクリッドにはラゲッジを固定するためのレールやリブが設けられるなど、プジョーらしい遊び心が感じられる。トランクはルーフを収納するときは前開き、荷物を積み込むときは後ろ開きになる2アクション。容量はオープン時でも175リッター、クーペ時には410リッターとかなりの容量だ。
ただし全長は3810mmと意外なことにハッチバックより25mm短い。ホイールベースは2440mmで共通だ。全高は1380mmとやや低くなっている。オープン化に伴いボディはフロアパン、サイドシル、ウインドシールド、ドアヒンジ/Aピラー支持部、リアバルクヘッド、リアパネルを強化。これによってボディ単体の重量はハッチバックより50kg以上重くなり、車両重量は1210kgとなった。
キャビンは2+2になっている。リアシートの後方にはロールバーが備わっていて、安全性にも考慮。インテリアはスポーツメーター、革巻き3本スポークステアリング、本革スポーツシートなどを採用して、スポーティでエレガントな雰囲気を演出している。ドライビングポジションも25mm低い。インテリアカラーはブラック単色のほか、ブラック/レッドのコンビも用意されている。
メルセデスSLKに続いてトヨタの新型ソアラにも採用された電動開閉式メタルルーフは、とくにオープンを楽しめる季節が限られる日本ではありがたい。でも前に書いた2台は高価格車で、誰もが手を出せるモデルではなかった。その点206CCは275万円と、普通の人でも頑張れば手が届きそう。フランス車好き以外にも広く受け入れられ、プジョー人気にさらに弾みがつきそうな感じがする。
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