プジョー206のXSとXTプレミアムの2グレードが、1.6リッターエンジンをSOHC8バルブからDOHC16バルブに載せ換えて登場。同時にATもチョイスできるようになった。このニューモデルのうち、XS・MTとXTプレミアム・ATの2台に試乗する機会に恵まれたので、その印象を報告していくことにしよう。

エンジンはSOHC時代よりもスムースだ。6500rpmから始まるレッドゾーンまで元気に吹け上がってくれる。もちろん加速は確実に鋭くなった。今までは「日本の道にちょうどいい」レベルだったが、今度はそれにプラスアルファが加わった。ただし途中でパワーやトルクが盛り上がるという特性ではない。レスポンスも普通。思ったよりも実用的なユニットだ。音はがさつな感じが消えて滑らかになったが、5000rpmから上ではこもり音が気になった。

さらに新型は、ステアリングの反応が今までより鋭くなったようにも感じられた。これはタイヤが太くなったためもあるだろう。さらにコーナーではフロントタイヤが悲鳴を上げるパターンは少なくなり、逆にコーナー中にアクセルを急に緩めると、旧型よりもはっきりとリアが滑り出すようになった。106S16や205GTIの走り味に近づいたようで、個人的にはうれしかった。

タイヤはワンサイズ太くなったが、XSと同じ理由で乗り心地は良くなっている。ルノー・ルーテシアを思わせるフィーリングで、低速では固めながら、うねりなどに出くわすとストローク感を味わえる。コーナーではXSと違ってロールを感じるが、グラッとではなくジワッと傾いていくのがプジョーらしい。さらに比較すれば、前輪が早めに鳴き出す分、リアの唐突な挙動は抑えられている。ノーズの重さのせいもあって、ステアリングレスポンスはかなりマイルド。XSに比べると実用車らしい性格だった。
新しいエンジンは、力強い加速と滑らかな吹け上がりを手に入れたのはもちろん、ATとの相性の良さも魅力だ。XSはもう少しメリハリのあるチューニングにしてほしいとも思ったが。シャシー面でプジョーらしさが増していたのもうれしかった。これに続いて夏前にはCCが加わるはずだから、206人気はしばらく安泰だろう。