新型クワトロポルテが発表されたのは昨年9月に開催されたフランクフルトショー。5代目となるマセラティのフラッグシップサルーンで、やや小柄なスポーツサルーンといった趣の4代目ガンディーニデザインから一転、5mを超えるビッグサルーンへと先祖帰りした。デザインはピニンファリーナ在籍中の日本人デザイナー、奥山氏である。
全長5m超え、ホイールベースに至っては3mを超えるビッグサルーンとしては異例のスポーツルックスが特徴。心臓部はクーペ&スパイダー譲りの改良型4.2リッターV8で、最高出力400ps、最高速度275km/h、0~100km/h加速5.2秒を誇る。
組み合わされるミッションは、マセラティが新たに”MDS(マセラティデュオセレクト”と呼ぶ6速セミオートマチック。機構的にはクーペ&スパイダーのカンビオコルサと同じだが、あちらが積極的なシフトチェンジを想定したものだったのに対し(だから名前もサーキットミッションのイタリア語だった)、MDSにはあくまでもオートマチックモードでの走行を意識した、全く別の制御が与えられている。例えば、エンジンスタート時において、自動的にオートマチックモードが選択されるなどというのは、AT重視制御の現れだ。
もちろん、ハンドル後ろのパドルで積極的なシフトチェンジも可能だ。
インテリアはポルトラナフラウによるフルレザー仕立て。ウッドもモダンな質感を伴うもの。室内の雰囲気はドイツ車ライバルはもちろん、ジャガーにだって望めないほどの豪華さである。
日本仕様は、本国ではオプションのナビ(アルパイン製)やCDチェンジャー(Blaupunkt製)といった装備をすべて備えるため、1280万円というプライスタッグとなった。
ライバルと目されるBMW745iLより200万円、MベンツS500Lより100万円、さらにジャガーXJRスーパーV8よりも高額、とあっては、一般的な人気を得るのは難しそう。イタリアンエグゾチックカーに乗る好きモノのファーストカーとして、まずはどれだけの地位を得るか。注目したい。
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