ファスト&クイック。短い試乗時間でボクが感じたGTAは、この二言だけに集約される。
試乗コースとなったタルガフローリオのスタート&ゴール地点周辺は、荒れた路面に加え折からの小雨に濡れ、さらには農作業車が撒き散らす泥のせいで、2WDのハイパフォーマンスカーを試すにはサイアクのコンディションであったとしか言いようが無い。
乗り込むと、ノーマルの156とはまったく違うシートが我々を迎えてくれる。ヘッドレストまで一体となったハイバック式のバケットシートだ。サイドサポートの形状が鋭角的で面白い。センターパッドはモコモコとした隆起が連続していてなかなか見せてくれる。大腿のサポートは可動式だ。
3.2lの250psV6エンジンが発する明らかに野太いアイドリングノイズに誘われてアクセルペダルを思い切り踏むと、いとも簡単にホイールスピンを起こす。トラクションコントロール(ASR)が間髪いれずに作用し、クルマはリニアには前へ進まない。タイトで硬いシートの上で緊張する腰の力を少し緩めてアクセルペダルをパーシャルに。そうすると、ようやくGTAは普通のV6156のようにガッと前へ掻き進むのだ。