より洗練されたフットワーク
本国ではいくつかバリエーションがあるのですが、日本に導入されるのは「2.0TFSIクワトロ」の 1機種のみに絞られています。トランスミッションはもちろんデュアルクラッチ式の7速Sトロニックが組み合わされます。
Sトロニックについても、全体的にシフトチェンジの制御がいくぶんスムーズになり、微低速時の半クラッチのつながりも滑らかになり、扱いやすさが向上するなど、制御が進化したように感じられました。このあたりは後発モデルとしての強みといえるでしょう。
フットワークのよさも、近年アウディがとみに評価を高めた理由を感じさせるポイントです。ビシッとした直進性と、切り始めから正確に反応するステアリングはアウディならでは。当初のA4では、車速によるアシストの変化が大きすぎて、やや人工的な印象が強かったのですが、それもだいぶ洗練されたように感じられます。
試乗時はあいにくのヘビーウェットコンディションだったのですが、こういうときこそクワトロが本領を発揮します。路面がウェットだとドライよりも路面ミューが落ちるのは当たり前のことですが、その落ち幅が小さく感じられるのです。攻めて走っても、4輪で路面をつかむ感覚があります。
A4のセダンやアバントも、そのままでも十分にスペシャリティな雰囲気を持ったクルマです。そしてA5スポーツバックは、さらにスペシャリティ感に満ちています。走りやクオリティ感などアウディに期待される部分はもちろんそのまま。
このクラスはライバルメーカーにも魅力的な選択肢がいくつもあるし、アウディの場合、身内にもライバルがいっぱいいて悩みどころですが、2010年初頭現在、アウディで選ぶなら、新しくて、スタイリッシュで、実用性も兼ね備えたこのA5スポーツバックに、けっこう魅せられているところです。