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まもなく生産終了、S2000の10年を振り返る(3ページ目)

2009年1月27日、ついに6月いっぱいでの生産終了が正式に発表されたS2000。9000rpm回せるVTEC、オープンカーらしからぬ高剛性ボディ、VGSの追加、2.2L化などなど、話題に事欠かなかったS2000の半生を振り返る。

岡本 幸一郎

執筆者:岡本 幸一郎

車ガイド


S2000の最終進化形? タイプS試乗

タイプSには、大型フロントスポイラーやリアスポイラー、タイヤの空気抵抗を軽減するストレーキ(整流板)などが装備され、足まわりも専用チューニングが施される。ボディサイズは標準モデルと同じだが、車重は10kg増の1260kgとなる
そして今回、まだ現役のうちにぜひと思い、その最終進化形といえるタイプSを拝借。S2000の楽しさ再確認することができました。筆者としては、S2000はこうしたエアロパーツの付いたルックスのほうが好みです。

2.2L化されたエンジンは、前記のとおりピークパワー値よりも低中速トルクの確保に努めたわけですが、それでも基本の特性は十分に「高回転型」。クォーンと突き抜けるように吹け上がるさまは、やはりホンダのVTEC。性能のいいエンジンは、サウンドもいいものです。持ち前の吹け上がりに加え、従来の2Lに比べるとずいぶん扱いやすくなっていることは誰でも直感できるはず。筆者としてはどちらかというとこちらのほうが好みで、着実に「進化」を遂げた絶品のエンジンだと思っています。

タイプSのコクピット。専用の黒/黄ツートーンのバケットシート、アルミ製シフトノブなどが与えられる
装備類に時の流れを感じさせる面はあるものの、ドライブフィールはいたって現代的というか、現代レベルを超える剛性感と、ピュアスポーツと呼ぶに相応しいフットワークを持っています。フロントに搭載されたエンジンの存在を感じさせないほど軽快にノーズが向きを変えるハンドリング。これは、多くのオープンモデルのライバルに対しても大きなアドバンテージでしょう。

タイプSには、GTウイングのごときリアスポイラーが備わるこれほどピュアに「スポーツ」しているクルマは、いまや日本車ではS2000のみ。しかも、初期モデルに比べると、リアのスタビリティが高まり、また「快適」とまではいえないまでも、乗り心地もずいぶん改善されています。楽しいものに新しいも古いもなく、とにかくこの楽しさは一級品です。まったくS2000というクルマには、乗るたびに欲しいと思わせる味があります。


そんなS2000が、まもなく新車で買うことができなってしまうことを非常に残念に思います。せめて少しでも次期モデルの情報があれば救われるところなんですけどね…。

2008年12月末現在、約9年間で国内累計2万台、全世界累計11万台以上が販売されたS2000。しっかりと一時代を築いたオープンスポーツカーである
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