世界中で人気者となった話題作
日本に導入されるカブリオは上級の「リミテッド」のみ。価格347万5500円。 |
PTクルーザーは、1999年に本国デビューをはたし、話題騒然のまま翌2000年7月より日本市場への導入が始まりました。そして、2004年にカブリオが追加されました。
クライスラーの中でもっともコンパクトなクルマとして開発されたネオンのプラットフォームをベースに、レトロモダンを極めた内外装に仕立てたというPTクルーザーは、どちらかというとパイクカー的要素の多分にあるクルマで、かなり特殊なクルマというか、「ウケ狙い」的な印象が強かったと感じていました。
ところがPTクルーザーは、発売から7年が経った2006年9月時点で、すでに累計販売台数100万台を突破するという大ヒットモデルとなりました。当初、これほどまでに売れるとは誰が予想できたでしょうか。それはこのクルマの生みの親であるクライスラー自身にとっても同じでしょう。かくしてPTクルーザーは、当時、業績悪化に苦心していたクライスラーにとって救世主となりました。
価格よし、デザインよし、そして……
電動開閉式のファブリック製ソフトトップにガラス製ウインドウを設定。隅々までライニングが施された3層構造のソフトトップは気密性、静粛性にも優れる。トップを開けた状態でも閉じた状態でもすっきりとシンプルなシルエットになる。 |
このクルマが売れた背景には、偶然とも必然とも受け取れるいろいろな理由があると思います。
売れたクルマには、必ず価格設定とデザインという重大な要素があるわけですが、PTクルーザーは、まずリーズナブルな価格設定であり、デザインについても、変わり者だけど普遍性もあるという、非常に上手いところをついたのだと思っています。
そして、ここ数年で、アメリカ人のクルマに対する考えが変ったことも大きいでしょう。世界規模でヒットを飛ばしているPTクルーザーですが、まずはアメリカ国内でも非常に好意的に受け取られていることも特筆できます。
以前のアメリカ人はというと、PTクルーザーや、さらに小さなBセグメントのクルマについて、いわばクルマと思っていないようなフシがありました。
ところが、今ではずいぶん様相は変わってきました。トヨタが北米で展開するサイオンブランドもそうだし、MINIだって人気を博しています。一昔前ならPTクルーザーは、あまり見向かれない小さなクルマだったかもしれないところ、もはやレッキとしたクルマという認識となったのです。
オープンカースタイルがよく似合うクルマ
リアシートへの風の巻き込み低減とボディ剛性の向上にも貢献するユニークな形状の「スポーツバー」が、より個性的なスタイリングをアピール。 |
そして、のちに追加されたカブリオが、さらに人気に拍車をかけました。なにせこのPTクルーザー、ご覧のとおりオープンスタイルも本当によく似合うんです。カブリオのデザインは世界中から高く評価されています。
電動開閉式のファブリック製ソフトトップを採用しており、センターのロックを解除し、スイッチを操作することで簡単にオープンにすることができます。
カブリオのスタイリングは、レトロモダンを売りとするPTクルーザーがベースなればこそなしえた、独特の美しいデザインに仕上がっています。
また、ノーズが低く、テールが高いウエッジシェイプのサイドビューは、クローズドモデルよりも全高が100 mm低くなったのと相まって、さらに躍動感が強調されています。
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