輸入車/注目の輸入車試乗レポート

期待に応える6代目マスタング

6代目マスタングが2006年秋より日本にも導入されている。世界中にファンの多いマスタングだけに、日本でも待ち望んでいた人も多いはず。実車に触れると、まさに期待どおりのテイストを味わわせてくれた。

岡本 幸一郎

執筆者:岡本 幸一郎

車ガイド

栄光の初代マスタングをモチーフとした最新モデル

逆スラントしたマスクはマスタングならでは。GTはフォグランプが標準装備

本国でも大いに話題となったマスタングの復活劇から2年。現行の6代目マスタングは、2006年秋より日本市場にも投入されています。

ボディサイズは4765mm×1880mm×1385mmで、ホイールベースは先代よりも150mm延長されて2720mmとなりました。もともと比較的大柄なボディではありますが、さらにデザインのせいか、実寸以上に大きなクルマに見えるような気がします。

ロングノーズ&ショートデッキのプロポーション、C字型サイドスクープ、3連リアコンビランプ、ギャロッピングホースのエンブレムなど、ひと目でわかるマスタングのアイデンティティをしっかり継承しています。

さらに、現行モデルの全体のスタイリングは、世界中を魅了した初代マスタングをモチーフにしています。フロントの逆スラントしたノーズなど、空力性能を考えると好ましいはずはないのですが、デザインを優先し、あえて採用してきたあたりもうれしく思えます。

この世に存在してくれるだけでうれしい

3連リアコンビランプは初代マスタングから受け継ぐアイデンティティ

それにしてもマスタングというクルマは、市販されるだけでもありがたい存在だと思えてきます。GMを見ても(コルベットは別として)、もはやカマロもトランザムもラインアップされていません。復活するウワサもありますが……。

スポーツカー不遇の時代、同じフォードの中でも、コンパクトFFクーペのプローブが消滅して10年がたとうとしています。低価格でスタイリッシュ。一時期はかなり人気を博したモデルでした。しかし、販売台数の減少により、消滅する羽目となったのです。

フォードは業績が芳しくないと伝えられ、商品ラインアップの合理化を図っています。長期にわたって現役モデルであった先代も徐々に販売台数の落ちており、マスタングだって先代を最後に消滅していてもおかしくなかったはず。しかし、実際はまったく逆で、わざわざ生産体制までを新しくし、全面的に一新して登場したのです。これが、今のところ大当たりだったようで、マスタングは現在、フォードのパッセンジャーカー部門で、フォーカス、フュージョンに次ぐ販売実績を挙げているそうです。

ちなみにマスタングというと、初代と2代目モデルは強烈に印象に残っていますが、1994年に登場した5代目モデルも、なかなか高い人気を誇ったことが思い出されます。当時は円高も手伝って、価格がかなり安かったことも、大いに売れた要因です。

しかし、それより前の3~4代目モデルというと、ほとんど印象にない影の薄い存在でした。ただのサブコンパクトカーに成り下がった80年代を経て、その5代目こそ、今につながるマスタング復活劇の始まりだったのでしょう。

かくしてマスタングは、世界中のファンが期待する、まさにそのとおりの姿で、この世に存在してくれているのですから、一ファンとして心からうれしく思えるのです。

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