さて、NSXを手放した理由はというと、実は今回もまた家庭の事情、なのである。S2000を手放した時ほど、複雑な理由もないし、手放すのと引き替えに僕自身、あるものを手に入れるための結果だから、S2000の時ほど、そのことについてガッカリはしていない。ただもちろん、またもやスポーツカーを家庭の事情の犠牲にしてしまったことに関しては、とても悔やんでいるのだけど。
NSXを買った理由は、ドライビング・スキルを上げるためだった。仕事で実に様々なクルマに試乗するけれど、極々希にポルシェやフェラーリといったスポーツカーに遭遇するときがある。そういう時に、ビビって走らせられないことがないように…との想いで購入したのだった。
動機はそんなところだったが、NSXは実に素晴らしいスポーツカーで、このクルマを所有したことで、実に様々なことを考えさせられた。そして時間とともに、どんどんこのクルマが好きになった。90年にこのクルマが誕生した時のことを僕はリアルタイムでは知らない。でも実際に所有して肌で感じて、さらに仕事で深い領域にまで興味が及んだことで、実に凄いクルマなのだということも分かった。バブル時代に、頂点を目指して作られたクルマにいかなる意味があったのかを、体感することができたという意味でも貴重だ。
そんなわけでいま、僕はスポーツカーを所有していない。しかも、もう1台のファミリーカーも売却してしまい、実は家にクルマが1台もない状況だったりする。
それにしても、スポーツカーはもちろんだが、クルマが1台もないというのは実に寂しいことである。でも、この状態はもう少しだけ続きそうだ。ファミリーカーに関しては、もうすぐにでも新たに手に入れる必要があるからそんなに時間を要さないだろうけど、スポーツカーに関しては、少しいろいろ考えている最中だ。もっともその前に、手に入れるだけの思い切りとお金が必要なのだけど。
今までを振り返ってみると、スポーツカーがない時期は思い出としてあまり鮮明ではない。やはり思い出すのは、思い切って買ってしまったからこその強烈な印象や、思い切ったことでいろいろなことが上手く回ったこととか、そういうことばかり。それにやっぱり、お金は使わないと入ってこないものだし…。
果たして次はいつ、僕はスポーツカーを手にすることができるのだろうか。もしかしたら意外に早い時期かもしれないし、そうではないかもしれない。
ただ、これまでのパターンで言うと、スポーツカーがないといっても経ってもいられなくなるのは確かだから、今年中には何とかしてしまうのではないかと予測できる。
しかもこれまでNSXという、ある意味頂点的なクルマを所有していたから、次はどういう価値観を持ってクルマを選ぶか、ということも思案中だ。とんでもないことにならなければ良いのだが…。
それにしても、家庭の事情でスポーツカーと別れるというのは悲しい。次こそは、そういうことがないように、経済的にも精神的にもゆとりを持って…と思うのだけど、それが実現した試しがない。もっとも僕は、予算を考えて選ぶというよりも、まず選んでから予算をどうにかする、というタイプだから仕方ないのかもしれないけど。
ただ何もないというのは、ある意味全ての可能性を十分に持っている状態なので、すごくワクワクするともいえる。その気になれば、何でも買える(ま、限りはあるけど)という風にも考えられるわけだし。
さて、長々と書き連ねてしまったけど、結局言いたかったのは、スポーツカーを所有して維持していくのは今の時代結構困難だよね、ということ。でも皆さんは決してそういう風にならず、ガンバってください。僕ももう少ししたら、また仲間になりますので。もちろんこのページを終えるつもりはないので、その辺りはよろしくどうぞ。