デトロイト・ショーから約2週間後の1月後半、スペインのセビリアでPTクルーザー・カブリオをテストした。
PTクルーザー・カブリオは、デトロイト・ショーで市販版がお披露目されたばかりのモデル。この素早さには、グローバルカンパニーにとしての力を痛感せざるを得ない。
これまで発売されていたセダン(カブリオが登場したことから、こう呼ぶようになったのだろう)と同様に、このカブリオはメキシコのトルーカ工場で生産される。メインマーケットはもちろんアメリカ。ではなぜ、スペインで試乗会なのか? 現地に着くと理由は即座に分かった。
今まで気が付かなかったが、改めて路上を眺めていると確かに欧州にはPTクルーザーやボイジャー、チェロキーといったクライスラー・ブランドが「意外に」浸透しているのである。特に今回試乗会が開催されたスペインでは、頻繁にそれらを見かけた。
聞けばPTクルーザーの開発は、約2年前にスタートしたという。つまりセダンが登場して少し時間を置いてからの話になる。ではカブリオ追加の理由は何なのか? クライスラーのスタッフいわくセダンの登場から時間が経ちPTクルーザー自体の「新鮮さや魅力を失わないようにするため」だという。海外の自動車メーカーのスタッフから本音の答えをもらえるのは、とても珍しい。
欧州で試乗会をしているだけあって、ブリーフィングも完全に欧州モード。ライバルはVWニュービートル・カブリオレやプジョー307CCとされていたのだった。
PTクルーザーは、古き佳きアメリカを思わせるレトロなスタイリングが、特に本国で「理屈じゃなく」受け容れられ人気を得た経緯を持っている。また同時に、オープン・モデルというのは、アメリカやヨーロッパでは「理屈じゃない」選択というイメージが強い。
つまりPTクルーザー・カブリオは、一目惚れして買うような強い商品力を持ったクルマということである。しかし気が利いているのは、このカテゴリーの最後発モデルとして、ライバルに差を付ける様々なアイデアを盛り込んでいるところだ。