実際の印象はさらに速い。2ZZ-GE型は、低―中回転域では回転そのものがカタく、重く吹け上がる印象を持っているのだが、6000回転を超えた辺りから爆発的に鋭い伸びを見せる。ロータスのエンジニアはこの辺りをして「ジキルとハイド」と呼んでいたがまさに言葉通り。もっとも我々日本人にとっては、以前のホンダVTECのような印象といった方が分かりやすいだろう。もちろんこれは同じエンジンを搭載したセリカではあまり感じられない印象である。
ただし、重さは増したが速さも増した。ならばOKだろう、という意見は、スポーツカーとしては良いかもしれないが、ライトウェイト・スポーツを考える時には難しい。
なぜならライトウェイト・スポーツというのはそもそもが、エンジン性能や速さがイコールではない存在だからだ。それはマツダ・ロードスターが立派に証明している。
悩ましいのはこの点。性能が高まり、エリーゼの持つポテンシャルを極限まで高めた111Rは、それはそれで魅力的であることに間違いないわけだが、一方で低い性能でしなやかな走り味を生んでいたオリジナルが恋しくなるというのも正直なところなのだ。
もしどちらにするか? と聞かれたら大いに悩んでしまうことだろう。
ただ、ひとつだけ確かなことは、どちらも素晴らしい走りを実現していること。これは疑いようがない事実である。それに111Rは装備が豊富である点も悩ましい。