3代目ではまず多人数乗りビークルを構築するときに、背の高さに頼っていた部分を低床化などによって見事払拭できたことが大切な部分といえるだろう。以前から走りを乗用車に近づけようと思っていただけに、このブレークスルーはかなり大きなものとなったに違いない。ミニバンとしてのパッケージングを低い全高で実現できるならそれに越したことはない。運動性能的にも有利で、実用面でも有効ならば、それを使わない手はない。しかも存在の新しさが出せるならなおさらだ。
かくして3代目オデッセイでは1550mmという全高が設定された。結果そのフォルムは非常に不思議なものとなった。
特徴的なのはフロントガラスの角度。他のミニバンと比べても圧倒的にフロントガラスが寝ているそれは、なんとNSXにも匹敵するほどの角度なのだという。その全長から多人数乗りビークルゆえの3列シート配置を持つパッケージを考えるとノーズは短くなる。一方全高も低くすることを考えると、短くなったノーズからルーフをつなぐフロントウインドーは必然的にこの角度になるわけだ。そしてこのフォルムは、まるでコンセプトカーを思わせるようなデザインで包み込まれた。ミニバン的なパッケージングの確保を低い全高で実現すると、その姿まで未来的になるということだろうか。これによって、3代目オデッセイは他とは全く異なるイメージを持つ多人数乗りビークルのアピアランスを持った。
インテリアもまたそのフォルムの影響を大きく受けるものとなっている。特にインパネはこれまでに見たことのないものとなった。低床かつ低全高ゆえ、ドライバーのポジションは極めてセダンに近いわけだが、目の前に広がる景色はなんと、これまでのミニバン以上に開けた感じを持っているのである。
これはインパネ上面が極めて低く設定されているからで、感覚的にはインパネが目線よりも遙か下の遠くにあるように感じるほど。つまり奥行きがかなりあるように感じる。室内から見たフロントウインドーとインパネの境界部分は、かなり遠くに見えるのだ。
エクステリアの不思議なフォルムとインテリアにおけるこれまでにない感覚こそ、私が冒頭で「これまでのどのカテゴリーにも属さないビークル」と書いた理由である。
一方で2列目3列目に関しては、ごく一般的なミニバンのそれといっていいだろう。もちろん、ライバルに対して広くゆとりある室内が目指されており、それを達成したものとなっているのは間違いない。
特筆すべきはユーティリティで、3列目シートはなんと電動で設置/収納が可能となった。オデッセイ・フォロワーとして登場し、今年フルモデルチェンジを果たした日産プレサージュは、数ヶ月前に登場し3列目シートのワンタッチ機構をアピールしたが、それはもうすぐ新型オデッセイによって過去のものとされる運命にある。こんな部分に代表されるように、新型オデッセイはミニバンとして見たときにも、周りに比べてとても高い商品力を持っているのである。