アクティブフロントステアリングおよびダイナミックドライブによるアクティブドライビングシステムと、DSCの協調制御はさらに高度なものへと進化する余地を残している。制御がさらに進めば、もはやドライビングにおいてドライバーの腕は必要とされない可能性すらあるものだ。しかしそれをあえて残しているのは、やはり「駆け抜ける歓び」を謳うBMWならでは、といえる部分だろう。
ちなみにもうすぐ登場するトヨタ・プリウスでも、電動パワステと、エレクトリックブレーキ制御を含むTHS―?と、VSCが協調制御を行っているようで、VSC作動時にはカウンター方向へのアシスト力を高めてスタンバイさせているという。
そう考えると今後はますますこういった制御が進化し、採用される車種が拡大するだろうとも予測できるのである。
さて、様々なハイテクが満載状態となっており、それらは実際に感じ取れる部分もあるBMW5シリーズだが、果たして総合的な印象としては、やはりBMWらしい走りを備えたビジネスクラスでトップクラスに位置するサルーンである。特にアクティブドライビングシステムによって得られた走りの世界は、このクラスでは希有な魅力を持つに至った。
駆け抜ける歓び、という思想を忘れることなく貫くために、様々なハイテクを用いたが、決してそれにおぼれることはなかった。そして結果的に我々の目の前に提示されているのは、やはり「BMWならでは」の魅力に溢れたクルマだったのである。
これからはさらに技術が進歩し、自動操縦に対する考え方もより具体的なものへとなっていくだろう。しかし、そうした技術をどのように使うかは自動車メーカーの考え方ひとつである。実際BMWは今回の5シリーズで、それを明らかにしたように思える。そう、これまで同様に駆け抜ける歓びを実現するためのものとして使う、ということである。
そういうところに強く「継続」ということの持つ力の大きさを感じたのである。自身が信じたものを、きちんと筋を通していくということは、一見すると当たり前のことのように思えるが、実際には様々な要件で少しずつ曲がっていく。しかしそれを阻止できれば、何ものにも代え難いブランド性が生まれるのだと、5シリーズに触れて改めて理解した。
同時に今回の5シリーズの登場で、BMWは生きるべき道を今まで以上に明確に示した、という風にも理解できたのである。
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