それはさておき、他のメカニズムでもやはり、ブランド性追求から生まれたのだろうという感じが強い部分は多い。
今回の5シリーズでは、アクティブドライビングシステムという謳い文句を使っていることからも分かるように、これまで走りを徹底的に追求してきた経緯を持つにも関わらず、あえて走りを強く謳うところがポイントだ。
アクティブドライビングシステムというのは、今回の5シリーズの目玉ともいえるアクティブフロントステアリングと、前後に可変式のスタビライザーを備えたダイナミックドライブと呼ばれるシステムの融合を指す言葉である。これを備えたことで、このクラスとしては前例がないほどに俊敏なハンドリングと快適性を両立したことを強調している。
アクティブドライビングシステムの採用というのは、年を追うごとにボディサイズが拡大していくことで、走りという部分での際だつものを表現しにくくなったこのクラスのモデルに対するBMWの回答といえるだろう。
その意味で、これまで自負してきただろう走りを追求することの答えは、この5シリーズでは発想そのものを転換することにまで影響を及ぼしたといえる。従来の方法では、おそらく5シリーズは同じような成り立ちを持つメルセデスベンツEクラスと大差ないものになってしまったに違いない。エンジンにおいてはやはり大きな違いが味として純然と存在するものの、ダイナミクスの部分においては味の違いで大きな差を付けるのは困難になってきている。そこで今回はアクティブドライビングシステムを採用することで、味としても大きな差を生み出し、圧倒的に違うものとして走りを強調したのだといえる。
事実5シリーズを走らせると、驚きを感じずにはいられない。これだけの質量があるサルーンが、コーナーでは本当にカートのような動きを見せる一方で、高速巡航時にはまさにこのクラスのお手本といえる極めて高いコンフォート性を実現しているからだ。
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