実際に走らせてみると、まずサウンドが違うことがアイドリングの時点で誰にでも分かる。もちろんサウンドだけではなく、右足に力を込めれば即座にフィーリングまでもが変化していると分かる。
世の中に4気筒のパワーユニットは星の数ほど存在するが、スバルのフラット4は、その中で確実に六連星のごとくクッキリと輝いているものといえる。他の直列4気筒と比べて、果たしてこれほどまでに滑らかで、かつ独特の雰囲気を備えたものがあったろうか? と思えるほどの仕上がりだ。
確かに懐かしいともいえるスバル・サウンドが消えたことで、ある意味スバルらしくないのかもしれないが、僕が強く感じたのは、これまでのスバル・サウンドが消えたことで、今までは気付かずにいたフラット4そのものが持つ滑らかさや精緻な感覚が存分に伝わるということである。
右足に力を込めると、滑らかにクルマは動き出す。これまでのレガシィを知る人はもう、5mから10m動かしただけで、今までとは全然違う滑らかさを感じる。もちろんスバルやレガシィ、フラット4を知らない人にとっては、多くの直列4気筒と比べても、なんと滑らかなパワーユニットか、と思えるはずだ。それほどまでに印象は一変した。
さらにターボエンジン搭載車では、そこから先に新たな世界が広がっている。滑らかさを感じた次の瞬間には、非常に太いトルクにより爽快な加速が始まる。これまでとは違う、大きな力に溢れた伸びやかな加速。さらに過給により回転数が上がると、徐々に加速は爽快から豪快へと変わり、タコメーターの針が明らかに高回転を指す辺りでは、素直に「速い」と思える。
以前のフラット4ツインターボの特性と比べると、圧倒的に低い回転数から最大トルクを発生するため、走り出して間もない段階から溢れ出る大きな力によって滑らかに加速し、その先でも最大トルクに近い数値をキープするフラットな特性だけに、気持ちよい伸びやかさを感じる。
ワインディングなどでは、新ターボユニットの扱いやすさが抜群だと痛感できる。特にタイトなコーナーになるほど、低回転から全開という状況になるが、そんな時に新ユニットはドライバーの思うままに力を発揮し、それを路面に伝える。以前のターボユニットでは、完全に「待ち」が必要だったが、今や何も待たずにコーナー脱出から勢い良く加速体勢に入れる。こんな具合でインターボユニットは、扱いやすく力強いパワーユニットに仕上がっている。
加えて今回新開発の5速ATが、新しいターボユニットの実力を存分に引き出す大きな要素となっている。これまでの4速の変速比をさらに細分して5速化したクロスレシオとすることで、パワーユニットの旨味をしっかりと引き出しつつ、同時にスムーズなフィーリングを与えることに成功した。これも先代から比べると大幅な進化。つまり扱いやすいターボユニットに、この5速ATが組み合わせられるからこそ、扱いやすさに拍車がかかり、これまでにない気持ちよい加速が生まれているのだ。