さて、次はエンジンである。エンジンに関しては、これまで存在する2.5/3.0Lの直6から大きくは変わってはいない。2.5Lの直6DOHCは192ps/25.0kgm、3.0Lの直6DOHCは231ps/30.6kgmを発生する。これまでとの微少な違いは、燃料噴射装置が新たになったことや吸排気系が専用となっていることなどだ。
組み合わせられるトランスミッションは、日本仕様の場合、ともにステップトロニック付きの5ATとなる。他に6速化されたSMG―?が用意されるが、今回はまだ試乗することができなかった。
それにしても、BMWのドライブトレーンは相変わらず、極めてシルキーなフィーリングを届けてくれる。エンジンだけでなく、駆動系などまで含め、全ての感触がシルキーだからこそ、この上質でしっとりとした気持ちよいフィーリングが得られるのだ。さらに最近のBMWスポーツモデルに見られる、SPORTSと書かれたボタンがこのZ4にも与えられている。これはダイナミックドライブコントロール(DDC/オプション設定)と呼ばれるもので、ボタンを押すことによって、エンジンのレスポンスをよりダイレクトに設定し、ステアリングアシストを低減するほか、ダイレクトなフィールを強調する。またAGS、SMGのプログラムを自動的にSモードに設定する。
2.5/3.0Lの印象の違いは、パワーの明確な差として感じ取ることができるが、果たして悩ましいのは、例え低出力である2.5Lでも、フィーリング的には相当に気持ちよいこと。確かにスポーツドライビングの局面では、3.0Lのスペックに分があるだろうが、果たしてスポーツドライビングだけがこのクルマの世界ではないことを考えると、2.5Lも捨てがたい魅力に溢れている。パワー的には劣るが、吹け上がり、回転感の気持ちよさは全く遜色がないのだ。
ちなみにSPORTSボタンを押してDDCを作動させた時の印象でいうと、3.0Lはもともとがパワフルなエンジンだけに、ややアクセル操作に対して過敏過ぎる感がある。その点2.5Lは過敏な反応ではなく、確かに気持ちよくなった、と感じられるだけの差を体感することができるのだ。搭載エンジンの違いによる車重差は、わずか20kgしかないため、特に3.0Lの鼻が重いというような感じは受けない。
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