エンジンを始動すると、聞き慣れたフラット4のサウンドが違うものになっていると気付く。等長エギゾーストを採用したからだろう。ボロボロっと響く「あの音」は弱まり、洗練された印象のサウンドが聞こえてくる。

シフトをローに入れ、スロットルを床まで踏みつけると、そこから未体験の世界が始まったのだった…。

テストをしたのはあのニュルブルックリンク。今や世界中の自動車メーカーが、走りの中身を磨くためのひとつの指標としている場所である。ここは実際に走ってみないと、その凄さを感じることはできない。ここで使われる一番低いギアは3速、カルッセルと呼ばれるすり鉢状の有名なコーナーで1回だけ使うことになる。

だから実質的には、一番多く使う低いギアというのは4速で、後は5速、6速のコーナーといった構成。いかにハイスピードなサーキットであるかが分かる。4速ギアで回るコーナーといえば、もはや覚悟を決めて進入するようなコーナーだから、5速6速となると、正直生きた心地がしない。しかもニュルは、アップダウンが絶妙に入り組んでおり、非常に嫌らしいシチュエーションを生み出している。登りで先が見えず思わずブレーキを踏むが、実はその奥にはほぼアクセルオフだけで5速で回るコーナーや、下りで先が見えないと思ったら、一気に谷底に落ち、そのまま4速で回るコーナーなど、本当に背筋が凍るような場所がいくつもある。

世界中の自動車メーカーは、ここをテストの場として使う。ここをどのくらいのタイムで走るのか、どれだけ安心して走れるのか…そんな風に様々な指標を見いだすことができる。ちょっと特殊なハイスピードサーキットだけに、速く走ろうと思えばクルマに相当の負担がかかる。かつてこの場所を1周してきたある国産スポーツカーは、ボディがゆがんでドアが開かなくなったというほどの場所だ。

こんな場所で、WRX・STiタイプRAスペックCは、とてつもなく高いパフォーマンスと信頼性を見せてくれたのだった。