昨年、打倒ランエボ7を掲げてリリースされたインプレッサWRX・STiタイプRAのコンペティションモデルであるスペックCをベースにして、スバルワークスであるSTiがオンロード性能の向上を徹底追及したのがこのS202と呼ばれるモデルである。

スペックCは装備を簡素化するなどして軽量化を実現していたが、このS202はつまりそれをもう一度ロードゴーイングモデルとして相応しいものに仕上げ直したともいえる。やはり公道でもランエボ7に負けてはならない、と思ったかどうかは知らないが、あえてそうした気持ちは、凄く良く分かる。

このS202のハイライトはなんといっても320psにまでパワーアップされた2.0リッターのフラット4ターボを搭載することだろう。自動車メーカーは未だ280psの見えない壁に悩まされているが、STiからなら問題なくリリースできる。

320ps達成の内訳は、吸排気系に新たなパーツを採用したほか、エンジンECUの変更、アルミ製空冷式インタークーラーの採用など。トルクはスペックCと同じだが、パワーが開放されたことで、きちんと実力が発揮できている感じがある。

サスペンションでは、主にリアサスに手を入れており、ピロボールブッシュのラテラルリンク、トレーリングリンクを組み込んだ。ブレーキもローターをスリット入りとしたほか、タイヤ&アルミも専用に変更。タイヤはピレリのPゼロロッソ。輸入車っぽいチョイスだといえる。

で、実際に走らせて見ると、これが実に痛快なクルマに仕上がっていた。スロットルを一踏みすると320psのパワーが容赦なく路面に叩き付けられ、まさにロケットの加速といえるような強烈な力でクルマが前に押し出される。もちろんドライバーはシートにピタッと押しつけられ、クロスしたギアはアッという間に吹けきってしまうのだ。こんな具合だから、いつもの道が細く見えて次のコーナーがやってくる感じも早いといえるほど。

コーナリングも実に楽しい。ピレリPゼロロッソはスライドしたときにマイルドな感触を持っており、進入時などの姿勢変化ではジリジリとした感触が伝わるから姿勢を制御しやすいのだ。さらにそのパワフルさを活かして、コーナー中盤以降から早めにスロットルを開けておけば、狂おしく身をよじりながらテールをスライドさせ、前へ前へと猛然と突き進んでいくのである。

こんな具合でパワーによって姿勢を変える瞬間は、クルマ全体が軽くなる感覚すら覚えるほどパワフルさを伝えてくるのである。

しかも目に見える部分のクオリティの高さが実現されているところがいい。いわゆるチューニングカーとは一線を画す内容がそこにはある。例えばセンターコンソールやエアコン吹き出し口にはウレタン塗装が施された触感のいいパネルが与えられる。またシートも、スウェード調のしなやかな肌触りを持ったものとなっている。

と言った具合で、S202は見た目も走りも大満足、の1台だったのである。
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