トップモデル、という認識をしてはいけない。これはむしろ、スカイライン・シリーズが持っている可能性をスポーツの方向に押し広げたモデルというのが正しい。
実際のGT-8の印象もそれに近いもので、確かに「プレミアムスポーツセダン」と謳うに相応しい内容を持っている。そう、新たな世代のスポーツの提案は、このGT-8によってさらに押し広げられたというわけだ。シリーズ最大となる3.5LのV6を搭載しながらも、決して熱苦しい主張はしない。あくまでひとつの可能性を、静かに物語るような感じを漂わせているクルマだ。
スカイライン・シリーズのまとめ役であるCPSの宮内氏はこんな風に言う。「スカイラインがこれまで構築することのできなかったブランド性というものを、このモデルからは作り上げていきたい」と。
一見控えめながらも実にハッキリとした意思が感じられるその主張に込められた意味は、つまりBMW3シリーズなどと真っ向から比べられるだけの存在感が欲しいということだ。
これを実現するための一端として、GT-8は存在する。つまりこれ1台だけでブランド性を作るわけではなく、GT-8のようなモデルを追加してスカイライン・シリーズの幅を広げることなどで、ブランド性を作り上げていこうということなのである。
昨年の新型スカイラインは賛否両論を巻き起こしたが、新たな世界の提案として確実に第一歩を刻んだことは間違いない。その意味でGT-8は差詰め第二歩といったところだろうか。もちろん第二歩があるのだから第三歩もある。この後さらにスカイラインは広がりを見せる予定だ。例えばクーペモデルの投入予定などがそれである。