文章 : 高山則政(All About Japan「カーメンテナンス」旧ガイド)
パンクなどのトラブルでスペアタイヤに交換する必要があるとき、ローテーションを行うとき、ブレーキの点検を行うときなどには、タイヤ(ホイール)を取り外す必要があります。特に緊急を要する出先でのトラブルの場合、レスキューサービスに依頼するのではなく、自分で交換出来るテクを身につけておいた方がよいと思います。そこでタイヤ脱着の方法をおさらいしてみたいと思います。
車載工具の場所を知っておこう
免許を取るときの教科書にも、クルマの点検やタイヤ交換の方法について触れてあったかと思いますが、自分でできるかどうかという以前に、車載工具の存在や収納場所を知らない(もしくは忘れている)という場合も多いと思います。
最近のクルマでは、工具と呼べるものはほとんど車載されませんが、とりあえずジャッキとハンドル、スペアタイヤは積んであります。ですから、イザというときのために、どこに収納してあるのか?取り付け方はどうなっているのかなどを知っておいた方がよいでしょう。
セダンでは、大抵トランクに工具やスペアタイヤがあります。トランクの底のボード内に工具、それをめくるとスペアタイヤが出てくるというパターンが多いでしょう。このほか、ジャッキや工具はフェンダーの内側に入っている車種も結構あります。ミニバンやワンボックスの場合は、リヤシートのサイドやスライドドアを開けたところのボックスなど、設置場所が色々あります。どこにあるのか分からない場合は、オーナーズマニュアルに記載されているはずなので参考にすると良いでしょう。
ジャッキをクルマから取り出す
国産車の多くに搭載されているジャッキは、パンダグラフジャッキと呼ばれるもので、その名の通り電車のパンタグラフのような、ひし形をしています。これは、ひし形の対角線をネジで締めたりゆるめたりすることでジャッキの受け皿が上下するようになっています。
まず、クルマから取り外す方法ですが、ジャッキそのものでクルマ側の収納フックを押し上げるように固定してあることが多いので、ジャッキハンドルを掛ける部分を左回転(時計反対方向)に回して外します。取り付けるときはこの逆で、ジャッキを縮めた状態にしておいてからフックに掛け、軽く締め込んで止まったところで止めます。あまり強く回すとクルマ側のフックが変形しますが、かといって緩いと走行中にぐらついたり、ひどい場合は外れてボディを傷つけるので気をつけます。
ジャッキアップする場所
クルマをジャッキで持ち上げることを“ジャッキアップする”などといいます。この時は、作業する場所の選定が大切です。きちんとしたガレージなら良いですが、トラブルは発生場所を選びませんし、そんなときは冷静さを欠いていることも多いものです。
基本的にジャッキアップするところは水平で地面が平らな場所で行います。車載のジャッキは特に安定度に欠けるので、傾斜地の使用は避けなくてはなりません。また、地面がジャリや土の場合も不安定になりがちなので避けるようにします。どうしてもという場合は、丈夫な板を敷くなどするべきでしょう。
パンクなどのトラブルの場合は、安全な場所まで移動するのが先決です。これは、他のクルマとの事故防止の上で重要です。路肩で作業する場合は、ハザードの点灯や三角表示板の設置などをして、後続車に知らせることも大切です。