NISSAN(日産)/日産の車種情報・試乗レビュー

エクストレイル・ディーゼルの高い完成度(2ページ目)

「ポスト新長期規制」を世界で初めてクリアした、エクストレイル・ディーゼルが登場。2週間で1000台受注と好調な滑り出しを切った。ディーゼルのよさを知るベテランから若葉マークまで幅広く進められるモデルだ。

塚田 勝弘

執筆者:塚田 勝弘

車ガイド

分厚いトルク

エンジン
2000ccのディーゼルエンジンは、ルノーとの共同開発の「M9R」で、6MTのみの設定。今後AT追加の可能性もあるようだ。173ps/3750rpm、36.7kg-m/2000rpmというスペック。分厚いトルクを2000rpmという常用域で稼ぎ出す
走り出すと気がつくのが、余裕のあるトルク。街中なら6速まで入れることなく赤信号に捕まってしまう。R32型のGT-Rと同等レベルという、一昔前なら一級のスポーツカーに匹敵する分厚いトルクのおかげで、MTだが、ずぼらな発進、シフト操作を許容し、3~4速辺りに入れておけば、AT感覚で運転できてしまう。これなら急勾配の山道でもトルクが必要な専用コースでも気を使うことなく、モアパワーと思うことなく走破できるだろう。街中、郊外路中心の試乗だったが、パワー不足を感じさせるシーンは皆無だった。

走行時の音・振動

マフラー"
マフラーからは水蒸気以外感じられない。ガソリン車よりもニオイも「無臭に近い」感じを受けた
アイドリング時に感じた音と振動は、走り出してしまえばほとんど気にならない。欧州仕様よりも入念に音、振動対策を施し、乗用車用ディーゼルエンジンが駆逐されてしまった日本への対策であり、先入観払拭のための努力であるはず。欧州では完全に市民権を得て、半数以上がディーゼルエンジンだけに、こんな気を使う必要もないのだが、世界一うるさい顧客である日本では必要な対策だったのだろう。

しかし音振動対策により、もし重量増や価格転嫁されているなら、少々残念のような気もする。重量増は燃費悪化につながるし、価格転嫁はクリーンディーゼル普及の足かせになりかねないからだ。

エクストレイル・ディーゼルに戻ると、JC08モードで14.2km/L、10・15モードで15.2km/Lというのはまずまず立派だろう。同じ4WDの2.0Lガソリンの「20S」が13.6km/L、「20X」が13.2km/Lを考えるとである。価格は約300万円。比較は難しいが、60万円前後の価格差がある。年1万kmペースで走ると「元が取れる」という日産とは試算だが、ガソリンと軽油の価格差が20円以上になれば、食指を動かしたくなるユーザーも多いに違いない。

しかし、「GT」という高級グレードではなく、もっと安価なグレードでATがあるならと望むのは私だけではないはずだ。そうすると、ガソリン車が売れなくなるというジレンマがあるようだが。

買いか否かといえば、MTが苦にならない、年の走行距離が多く、長年乗っていきたいというなら断然買いだ。音振動対策で、ガソリンよりも乗り心地までも良くなったような感じさえ抱かせたし。新しいパジェロのクリーンディーゼルは、現行規制をクリアするだけと考えると、「今のところ」はまだ先頭を単独で走るトップランナーである。

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