輸入車/注目の輸入車試乗レポート

伝統を受け継ぐ新型ジープ・チェロキー(2ページ目)

軍用車として生まれた1941年の登場以来、「ヨンク」の代名詞的存在であり続けるジープ。中核モデルであるチェロキーが新型にスイッチした。現代アメリカンSUVは他にはない個性でファンを魅了する。

塚田 勝弘

執筆者:塚田 勝弘

車ガイド

洗練された走り

オフロード
搭載されるエンジンは、ダッジ・ナイトロと同じく3.7LのV6で、205ps/5200rpm、32.0kg-m/4000rpmというスペック。ハイオクガソリンを指定。今回、走行したのはオンロードとタフなオフロード
ジープ一家らしく四角いフォルムなので、大きさの割に慣れてしまえばそれほど苦労なく取り回しできる。とはいっても全長4500×全幅1830×全高1785mmは、初めてのSUVとしては誰にでもオススメできるサイズではない。まずオンロードから走り出すと、視線の高さを意識させられる。重心高も高く感じるから、まずはゆっくり走ろうという気になる。他のジープやクライスラーのモデルと同様、身長171cm、足の短いリポーターにはやや独得に感じられるペダルレイアウトだ。ブレーキで合わせるとアクセルペダルが遠くなる。左足の置き場も欲しくなるし、ステアリング調整は、チルトはするがテレスコはしない。ドラポジ合わせにやや苦労する。

決して軽くない車体をモサッという感じで加速させる。ダッシュは得意ではないが、巡航速度に乗ってしまえば何ら不足はない。身体が重いので、急な登り坂も決して得意ではないが、気がつくと結構なスピードに到達している。遅くはないのだ。ハンドリングは、BMWのX3やX5のような俊敏さとは逆の、ゆったり走るのに向く動き。しかし、クルマのキャラクターに合っていて好感を持てる。誰もがドイツ車になってしまってはつまらないのだ。

エンジン音やタイヤノイズなど騒音面も従来型よりもかなり頑張っている。乗り心地もシルクのような滑らかさではないが、オンロードの快適性は十分満足できる。ライバルのランドローバーのフリーランダー2やBMW・X3のような軽快感よりも、重厚感のある三菱パジェロに近い乗り味。まさかジープDNAがパジェロに息づいているワケではないだろうと思うが。

さすがのオフロード性能

象の足
象の足跡と呼ぶコブを難なく走破する。1速ローレンジだと1.5km/h、2速ローレンジで4.5km/hくらいになる。このコブはインストラクターのみの走行。片輪が完全に浮いても前に進む
オフロードに強みを見せるコマンダーやラングラーよりも、 オンもオフロードもイケるバランスのよさが身上のチェロー。だがそこはジープ・ブランド。林道や雪道など、日本の日常のシーンではまず不足のない4WD性能を備える。前後アスクルのトルク配分を調整し、空転する前にトルク配分が可能なトルクセンサー付きの電子制御4WD。トランスファーの操作は小さなスイッチレバーで行う。2WD、4×4オート、4×4ローを用意し、ローモードにすればエンジントルクが2.72倍に増幅され、直結状態になる。

さらに、登り坂でも2、3秒停止状態になるヒルスタートアシストや超低速ギア比により可能になったヒルディセント・コントロールを装備。悪路でもドライバーはステアリング操作に専念でき、下りの急勾配でも不安になることはない。凍結した雪道などウインターシーズンのオンロードでもありがたい装備といえる。

用意されたオフロードコースは、徒歩では苦労するような最大で約38°にもなる急勾配、岩や泥、深い水たまりまで待ち受けるタフな悪路であったが、オールシーズンタイヤにもかかわらず、数回バックして再発進する程度で切り抜けてしまった。こうしたオフロードの補助装備はもちろん、四隅が見切りやすいボディ、サイドビューカメラの恩恵を実感した。

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