
しかも、リヤドア幅も延長代に合わせて大きくなっている。セカンド&サードシートともに乗降性が向上。後席の使用頻度が高い車種ならではの親切設計である。スモール&コンパクトの3列シート車市場の拡大に合わせた間に合わせ設計ではなく、しっかりと使う人の現実を見据えた設計は好感が持てる。
ならば大人の6名乗車でもキュービックで十分、と考えるのは早とちりすぎる。頑張った設計だが、寸法的には使える限界レベル。サードシートはセカンドシートを膝前スペースがなくなるぎりぎりまで前方にセットして、何とかレッグスペースが確保できる。セカンドシート下のつま先が入るスペースも狭い。しかも、座面フロア高が高いため、膝を抱きかかえるような、よく言うところの「体育座り」の着座姿勢になってしまう。着座姿勢の自由度はほとんどないし、20、30分程度ならば我慢もできるが、長い距離は勘弁してもらいたい。
また、サードシート使用時の荷室容量も少ない。ハンドバックやブリーフケースなどの小さなバックが置ける程度。6名乗車でレジャーに出かければ身回り品も室内に置かなければならないのだ。

同じくスモール&コンパクトクラスのミニバン、モビリオと比較すると、居住性では劣っている。モビリオも余裕のある方ではないが、サードシートもそれほど脚周りが窮屈ではない着座姿勢が採れる。姿勢の自由度も高い。腰がなく平面的で薄っぺらな着座感がないため、長時間座り続けるのが辛いという点ではモビリオのサードシートも同じなのだが、キュービックよりも多少はマシである。ただし、フロント/セカンドシートの乗り比べでは、シートの座り心地がしっかりしている分キュービックのほうが快適である。
シート格納時の荷室の使い勝手もモビリオが勝っている。乗員数/積載量のアレンジ幅も広い。ただ、シート格納の作業はキュービッグのほうが簡単。ヘッドレストの着脱こそ少し面倒だが、ふだんの用途でもちょこちょことシートアレンジを変える気にもなる。
居住性と荷室アレンジを総合的にみると、モビリオは6名乗車基準、キュービックは4名乗車基準になっている。キャビンの発想はモビリオが1BOX型、キュービックはステーションワゴン型なのだ。キューブ自体、フロントシート+多目的リヤスペースに近い発想のクルマであり、サードシートを付け加えたことでフロント/セカンドシート+多目的リヤスペースへと基準乗車人数を2名増えたと考えればいい。
