男女差別などと変に勘ぐられても困るのだが、多くの家族(夫婦)の平日は夫が仕事、妻は家で家事、という具合になっていたと仮定する。夫が通勤や仕事で自家用車を持ち出していなければ、あるいは複数のクルマを所有していなければ、クルマの使われ方はどうなるか。女性の免許収得率の高さを考えても、平日は奥さんの生活のアシとして使われると考えるのが普通だろう。そういう使い方ならば少子化の現在、子供連れで動かなければならない奥さんでも小さなクルマで事足りるはずだ。

小さなクルマで気軽にスイスイ走れるクルマがいい。平日の奥さんの視点から、実用的なクルマを選べば、そんな感じになるだろう。経済的に厳しい時代背景もあるのだろうが、そういったコンパクトカーが増加しているのも事実である。

今回、モビリオとスパシオを採り上げた理由もそこにある。モビリオの全長は4055mm、スパシオは4240mm、最小回転半径はモビリオが5.3m、スパシオが4.9m(1.5L・FF車)である。ともに全高が1.6mを超えるので立体駐車場での制限を受けやすいのが難点だが、取り回しサイズとしてはタウンカーに手頃である。

しかも、どちらも3列シートを採用して乗車定員は7名である。

多人数乗車にも対応できる多用途性やタウンカーとしても使いやすいサイズなどなど便利で賢い、ダウンサイジング志向で環境にも優しいはず。正に現代のファミリーカーといった感じである。

ただ、この2車。適応用途、対象ユーザーニーズはけっこう違っているのだ。数字だけを羅列すると、同じようなクルマに思えるかもしれないが、同じような要素を持ちながら、前提条件から違っているのだ。

モビリオはいわばステップワゴンの縮小版である。3列のシートを使うことが前提となる。これに対してスパシオの前提条件はフロント&セカンドシートの2列が基本であり、サードシートの常用は考えていない。

もう少し違った言い方をすればモビリオは一昔前の大家族のための定番車だった1BOXワゴンの延長に位置し、小さくて多人数乗車をしっかりとこなせるという点では、1BOXミニから進化したアトレー7やエブリィ・ランディと同じである。一方、スパシオは荷室にジャンプシート(フォールディングシート)を備えたステーションワゴンの延長に位置する。サードシートは緊急用であり、オマケ的な存在。5名定員のステーションワゴンとしての常用が前提となる。