電車に乗った瞬間からF1モードに
レース観戦の起点となるのは「ミラノ・スタツィオーネ・セントラーレ(ミラノ中央駅)」である。この駅は非常に大きな駅でプラットホームも列車の種類も凄まじい数が存在するのだが、モンツァに向かう列車はすぐに分かる。なぜなら駅のコンコースにはフェラーリのキャップを被ったティフォシたちが集っているからだ。そのティフォシたちについていけば大丈夫。モンツァへ向かう列車は20分に1本ほど運行されていて、料金は片道1.65ユーロ(約230円 ※1ユーロ140円で計算)と非常に安い。
モンツァの駅についた後、列車からドーッと降りてくる多数のティフォシ達の姿は圧巻だ。普段から通勤列車として運行している列車なのであるが、まるでF1ファンのために運行している特別列車ではないかと錯覚するほどに、ほとんどの乗客がモンツァで降りて行く。
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モンツァ駅で列車を降りるF1ファンたち。やはりフェラーリファンが多い。 |
イタリアのファンは意外とローテンション?
案内に従っていけば(というかティフォシについていけば)モンツァ駅からのシャトルバス乗り場はすぐに分かる。バスはモンツァの街中を通って行くが、途中にはドライバーたちが宿泊するホテルの前に多くのファンが集っている光景をみることができた。そんな風景を楽しんでいると、バスはあっという間にサーキットの敷地内に到着する。
驚くべきはサーキットが街の中にあることである。モンツァというと、森の中のサーキットだけに山の中にありそうなイメージがあるが、実は街の中に作られた巨大な公園の中にあって、レーシングコースまでの道のりは森の中のジョギングコースにもなっている。
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モンツァは自然が豊かである。 |
その道を歩いて行くイタリアのファンたちは朝が早かったせいだろうか、意外なことにテンションが低い。毎年、あの熱狂する姿を見ていただけに、朝からワインボトルなどを持参してワッショイワッショイしているのかと想像していたが、みな静かに森の中を歩いて行く。歴史の長いグランプリだけあってか、ファンの年齢層も幅広く、親子三代のファンを見かけるのは当たり前で、50~60歳代の男性グループが多い。非常に落ち着いた雰囲気にまず驚かされた。
F1関係者の送迎車に遭遇
数多くのファンがトボトボとサーキットまでの公園道を歩いて行く途中、VIP客や関係者とおぼしき車の列に遭遇した。横で止まったメルセデスベンツの助手席をふと見ると、なんと「ブラウンGP」の首脳であるニック・フライではないか。ミーハー気分でカメラを向けると彼はニッコリ笑って手を振ってくれたが、周りのフェラーリファンは気にもしない。日本だったら、一般のファンと関係者の導線が同じであればチーム首脳に遭遇した時には大騒ぎになるであろう。
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出勤するF1関係者の姿を間近に見ることができる。関係者も敷地に入るまでカナリの渋滞を我慢せねばならない。 |
落ち着きはらったイタリアのファンにも驚いたが、逆に日本のF1ファンがそれだけ熱心だということにも気付かされた。